〔巻頭言〕

病院長就任挨拶

病院長 西牧 謙吾


 この度4月1日付けをもちまして、国立障害者リハビリテーションセンター病院長に就任いたしました西牧謙吾と申します。
 国立障害者リハビリテーションセンターは、我が国の障害のある人々の自立及び社会参加を支援するため、医療から職業訓練まで一貫した体系の下で、障害者の生活機能全体の維持・回復のための先進的・総合的な保健・医療・福祉サービスを提供するとともに、リハビリテーション技術・福祉機器の研究開発、リハビリテーション専門職員の人材育成、国際貢献等、障害者リハビリテーションの中核機関としての先導的役割を担っています。病院として、その一翼を担い、第2期中期目標にある、良質なリハビリテーション医療等(治療、医学的リハビリテーション、2次障害の予防、健康増進)の提供と臨床介入、臨床研究開発を通じた先進的リハビリテーション医療の推進とその情報発信に努めていく所存です。
 さて、ひとたび、地域における病院の置かれている状況に目を向ければ、持続可能な社会保障制度の確立を目指し、医療機関は、病床機能を病棟毎に機能を選択し、都道府県に報告を求められます。都道府県は、2次医療圏等ごとの各医療機関の将来の必要量を含め、その地域に相応しい地域医療ビジョンを策定します。当病院は、国立施設としての独自のミッションと地域の病院として機能分担を求められることになり(医療介護総合推進法に基づく)、当病院として、外部に発信する具体的な目標を設定する必要を感じています。
 また、当施設には、陸上運動場、水泳プールや体育館といった障害者用スポーツ体育の施設があり、障害者の健康増進のための障害者健康増進・運動医科学支援センターや自動車運転教習の施設が併設されており、車いすの調整や義肢装具の作成、障害者対応の人間ドックの運営も行っており、特筆すべきリハビリテーションセンター病院の特徴を有しています。このような病院機能を活かし、自立支援局の就労支援機能との連続性を担保し、国リハならではの障害者支援モデルを構築していきたいと思います。
 最後に、私自身は、平成25年6月に新設された第三診療部で、発達障害を中心に診療を行っています。基本的には、小児科・児童精神科なので、先天的な疾患や障害を扱いますが、年齢制限を設けていないので、成人の発達障害の方の受診もあります。脊髄損傷、脳卒中など、大人の中途障害の方は、成人まで定型発達した「成熟さ」があるのに対し、先天的疾患では、大人になりきれていない「未熟さ」を感じています。このような気付きを得られるのも、幅広い障害者に接することが出来る、この病院ならではのことだと思います。病院の新しい1ページに、障害のある子どもの医療も充実させていきたいと思います。
 これまでの病院で培ってきた歴史の上に、更なる発展を目指し、病院運営に尽力したいと思います。今後ともひきつづき、ご指導、ご協力のほど、お願い申し上げます。