〔特集〕
平成28年度事業実施総括
 

 事業の実施状況
 平成28年度は、4月に飛松総長が就任し新体制が発足するとともに、第2期中期目標の第2年度として、これまでの取組・成果を継続しつつ新たな課題への挑戦に取組み始める「温故知新」の年となりました。
 国立の機関として、障害における多様な支援ニーズに応えるため、先導的・総合的な事業展開、政策的課題への取組、そして成果の公表・発信といった新たな中期目標の柱に沿って事業を展開しました。実施に当たっては、昨年度、当センターを挙げて取組を進めたPDCAサイクルを活用した業務運営を基本にすえ、各部門・職員への一層の浸透、定着を図りました。
 また、中期目標の副題に掲げた国立の中核機関としての先導的・総合的な取組について、今回の評価結果をもとに14の事業にまとめました。
 具体的取組は、各部門ごとに記載したとおりですが、①伊東重度障害者センターの統合(6月に利用者の移送実施)、②「発達障害者支援法」改正(8月施行)を踏まえ12自治体を直接訪問し「発達障害者支援地域協議会」設置への助言指導等を実施、③「障害者の健康づくり」に関するこれまでの研究成果をもとに行政施策化へ向けた働きかけ等を行いました。
 第2期中期目標の実現に向け、次年度以降もセンター職員一人一人が運営方針、組織目標をしっかり理解・共有し、ミッションの着実な遂行を目指していきます。

 組織・定員及び予算等の状況
(1) 組織・定員
 平成28年度におけるセンター全体の定員は616名で、前年度末に比し3名の減員となっています。施設別の定員内訳は、所沢センターが396名、視力障害センターが93名、重度障害者センターが52名、秩父学園が75名です。
 平成28年度において、伊東重度障害者センターを所沢センターに統合するという組織改正を行ったため、所沢センター以外の地方センターは、視力障害センター3か所(函館、神戸、福岡)、重度障害者センター1か所(別府)、秩父学園1か所となりました。
 伊東センターの所沢センターへの統合に伴い、所沢センターの体制整備を図り、自立訓練部を第一自立訓練部とし、頸髄損傷者のリハビリを行うために第二自立訓練部を設置しました。また、自立支援局の利用者の健康管理を図るため、総合相談支援部に医務課を設置しました。
 平成28年度における増員は、①脊髄損傷者の神経再生医療を推進し効果的なリハビリの研究開発等を行い、もって支援の充実強化を図るための体制整備として理学療法士3名、研究員1名、看護師1名、生活支援専門職1名、企画官1名、②通所が困難な高齢視覚障害者を対象に訪問による支援を行い、地域特性別の支援方法確立のための機能訓練専門職2名、③発達障害情報・支援センターが自治体において効果的・効率的な発達障害支援施策の展開が可能となり、現地で具体的な支援を行うための情報・支援係長1名、④産前、産後休暇や育児時間の取得等により、常勤の定員に配置されている職員がフルタイムで実態上従事できない場合にカバーするための定員として3名の合計13名の増員となりました。
 その一方で、平成28年度における政府の定員合理化計画等のもとに16名の定員が削減されました。
(2) 予 算
 平成28年度国立更生援護機関全体の予算は、78億6千3百万円で対前年度比4.8%の減額(3億9千4百万円)となりました。この主な要因は、塩原センター解体工事の竣工に伴い運営費が2億2千7百万円、伊東センター統合に係る初度設備費2千3百万円、その他統一調整による経費が減額されたことによるものです。
 新規予算では、伊東センター統合に係る天井走行リフト設置費2千9百万円、発達障害支援施策の支援事業6百万円、発達障害児等不登校療育支援事業8百万円が予算化されました。
(3) 施設整備
 伊東重度障害者センターの国リハへの統合に伴い、旧病院新館及び画像診断棟を重度障害者のための宿舎棟及び訓練棟への改修第2期工事については、平成28年5月に竣工し、引き続き伊東センター庁舎解体工事に向けての設計業務を実施しました。
 また、第二体育館改修工事として、トイレ、シャワー室、更衣室の新設、床の張り替え等の工事内容で、平成29年3月に竣工しました。