〔巻頭言〕

学院長就任挨拶

学院長・病院第三診療部長 森浩一


 中島八十一学院長の後任として、平成29年4月1日付で学院長を拝命しました。この機会に自己紹介がてら、学院との縁もお話ししたいと思います。元々は耳鼻咽喉科医なので、学院出身の言語聴覚士には昔からお世話になっていました。現在は吃音と耳鳴りという2つの領域を専門に扱っていますが、以前に音源定位の研究をしていた関係で、学院視覚障害学科の研究発表会を見せていただいていたこともあります。
言語聴覚学科の講義は研究所に入職以来担当しています。また、昨年度までは言語聴覚士国家試験委員会の委員長をしておりました。発達障害者支援法によって発達性吃音が発達障害の範疇に入ることになり、国として他の発達障害と同じく対策を強化すべきであるということで(あろうと推測しておりますが)、病院第三診療部も併任で担当させていただくことになりました。
 学院は、「我が国の障害者リハビリテーション分野における先駆的・指導的役割を担い得る専門職の養成を目指し、臨床のみならず研究・教育分野を先導できる人材を養成するために先進的な知識と技術を付与する。」ことを目標に掲げ、専門職員の養成と、現任研修という2つの機能を持っています。
 養成課程はセンターの前身の1つである国立聴力言語障害センターの養成所を起源とする言語聴覚学科から始まり、いずれの学科も国内では非常に早期に開始され、時代の要請に応じて義肢装具学科、視覚障害学科、手話通訳学科、リハビリテーション体育学科が加わっています。
児童指導員科は、50年の歴史を有する国立秩父学園の統合に伴い、その養成所を学院が引き継いだものです。
 現任研修は、現場におられる担当者・専門職の実践力の向上を目指すもので、毎年30以上の研修会が開かれています。短期のものが多いですが、修了することが資格としての効果をもつ研修会もあります。
 このような多数の学科・研修会は、学院の職員だけでは到底運営できるものでありません。
講師・実習指導者として、センター外の専門家にもお願いしてはいますが、大部分はセンターの他部門の方々の多大なご支援を得て成立しています。現場経験に裏打ちされた知識を伝授していただけることで、実り多い教育・研修となっています。この場をお借りして感謝申し上げますとともに、今後もよろしくお願い申し上げます。
 いずれの学科・研修コースも時代のニーズに対応して設置されたもので、評価も概ね良好なのですが、募集定員を満たすだけの応募がないプログラムもあり、将来の方向性を検討する必要が生じています。実際、一部の学科では検討委員会も作られて議論されましたが、対策は試行錯誤の段階です。学院の今後10年くらいの構想を立てた上で対応して行く必要があるものと思います。この点についてもセンター各部門の皆様のお知恵を拝借いたしたく、お願い申し上げます。