冬季に気になる感染症について


◎インフルエンザ

図 発熱の様子(イラスト)
1.インフルエンザとは
インフルエンザウイルスによる急性の呼吸器感染症。突然発症すること、38℃を超える発熱があること、喉が痛いなどの上気道炎症状があること、全身のだるさがあることが特徴である。

2.インフルエンザウイルスとは
インフルエンザウイルスはA型、B型、C型の3種類に分けられる。A型では粒子表面にある赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)と呼ばれるものにより、さらに分類される。私たちの体はHA、NAの違いを認識して感染防御反応を起こすが、このHA、NAは変化しやすく、同じ種類のA型インフルエンザであっても毎年のように流行を繰り返す。

3.インフルエンザの検査とは
鼻・喉のぬぐい液などの中に含まれるウイルスを検出する迅速診断法が一般的。発熱から12時間以内は感度がやや低いため、感染していても陽性とならないことがある。

4.インフルエンザの治療とは
インフルエンザの治療薬としては、オセルタミビル(タミフル)、ザナミビル(リレンザ)などがある。これらはウイルスの増殖に関係する部分を阻止する。そのため、発病後、早期投与開始が必要である。

5.インフルエンザの予防とは
1)ワクチン接種
毒性をなくしたインフルエンザウイルスの一部を体内に入れることで抗体を作り、インフルエンザを発症しにくくする。このワクチンは流行予測に基づいて製造されるため、流行ウイルスと異なる場合はその予防効果が低下する。
2)その他の予防法
図 うがい(イラスト)インフルエンザウイルスに感染しても全ての人がインフルエンザを発症するわけではなく、過労、睡眠不足、飲酒、喫煙などによって発症しやすくなると考えられている。そのため、十分な安静、睡眠をとることが重要である。また、マスク着用、手洗い、うがいも重要である。

◎ノロウイルス

1.ノロウイルスとは
図 嘔吐(イラスト) 急性胃腸炎の原因となるウイルス。このウイルスによる急性胃腸炎は1年中起こるが、特に冬に流行する。ウイルスは嘔吐物内、便内に排出され、手指についたウイルスを摂取することによって感染する。症状としては嘔吐、下痢、腹痛など。

2.ノロウイルス感染症の検査とは
電子顕微鏡や遺伝子検索でウイルスを検出する方法もあるが、最近は便中のノロウイルス抗原を15分程度で判定することが可能な迅速キットが発売されている。

3.ノロウイルス感染症の治療とは
ノロウイルスに効果のある抗ウイルス薬はないため、対症療法が基本となる。脱水症状を起こしたり、体力を消耗したりしないように水分と栄養の補給を充分に行う。下痢止めは回復を遅らせることがあるので使用しないことが望ましい。

4.ノロウイルス感染症の予防とは
手指についたウイルスをしっかりと落とすため、石鹸をしっかり泡立てて手洗いすることが重要。また、汚染された二枚貝を生や加熱不十分な状態で食べても感染するため、しっかりと加熱調理することも重要である。
図 手洗い(イラスト)

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