鍋料理で健康を考えよう
(第41回健康教室)

                管理栄養士 繁田 文子

鍋料理の恋しい季節です。日本人の鍋ベスト10には、おでん・すきやき・しゃぶしゃぶ・ 寄せ鍋・湯豆腐・水炊き・キムチ鍋・蟹鍋・鍋焼きうどん・うどんすきの順位です。

●なぜ私達は、寒くなると鍋料理が恋しくなるのでしょう?
・鍋料理の具材に欠かせないのがきのこ。きのこの魅力について見て行きましょう。
 
写真1 エリンギ ①エリンギ: シコシコ歯ごたえが人気で、食物繊維がとても多く含まれています。
 
写真2 きくらげ ②木くらげ: 歯ごたえが、くらげにそっくりです。形が耳たぶににています。
ビタミンD効果を持つエルゴステリンを含みます。
 
写真3 ぶなしめじ ③ぶなしめじ: エリタデニンがコレステロールを下げる効果があります。
 
写真4 干し椎茸 ④干し椎茸: 日本一の消費量です。
太陽にあたりビタミンDへ変化するエリゴステリンは、骨の形成に大切なはたらきをしています。

きのこ類の栄養素は、ビタミンDの補給ができカルシウム(Ca)の吸収を助け、また、食物繊維が豊富で便通を整えられる解毒力が強い野菜です。
 
写真5 デトックス鍋 提案鍋・・デドックス鍋
  きのこを沢山食べられる鍋の紹介です。
グアニール酸・グルタミン酸・イノシン酸の『きのこ』、『昆布』、『かつお節』うまみを、とろろで、封じ込めた味噌味の鍋です。

・次の野菜は、白菜のパワーで元気をいただきます。

写真6 白菜 オレンジ色白菜の中心には、ビタミンCがたくさん含まれてます。
芯の近くには、グルタミン酸が多く、煮込むほど甘みが引き立ちます。


・生姜のパワーは、いかがでしょう。

写真7 しょうが ジンゲロンの刺激は、血液の循環を促し内臓の働きを活発にしてくれます。・・・身体を温める食品です


●どれくらい野菜を食べたらいいのでしょう?
・からだに野菜を取り入れましょう。 図1 20歳以上1人1食当たり野菜の摂取量と年代別分布のグラフ。平均摂取量は一人当たり100g未満であり、摂取量不足が分かる。(H19年国民健康栄養調査より)
 
1日で350gの野菜を食べましょう。
 
 
右の図は、
20歳以上1人1食当たり摂取量
縦軸に野菜摂取量(g)、横軸に年代を
表しています。



写真8 350グラム分の野菜
写真9 さまざまな人参を紹介(人参はベータカロテンが多い) 金時人参、島人参、西洋人参、パリジャンキャロット、ベビーキャロット

・さまざまな人参を紹介します。人参にはβカロテンが多く含まれてます。
βカロテンを多く含む食品を紹介します。・・・緑黄食野菜です。
 下の表は、100g当たりβカロテンを 600μg以上含む野菜です。
 縦軸βカロテンの含有量(μg)を表し、横軸は、食品名です。
 (五訂増補日本食品成分表のデーター)

図2 100グラム当たりベータカロテンを600ミューグラム以上含む野菜 モロヘイヤは10000、人参は8100、春菊は4500、ほうれん草は4200  人間は、ビタミンを作る事が出来ません。ビタミンは、水溶性ビタミン・脂溶性ビタミンの2種類に分類されます。βカロテンは、脂溶性ビタミンです。
 βカロテンは、身体の中でビタミンAに変わり・・抗酸化力を持つのです。
 抗酸化作用とは、酸化を防ぐ作用のことです。
 私達のからだで活性酸素による酸化が起こると、細胞・組織の変質、ガン化をおこします。活性酸素のはたらきは、細菌を撃退する力をもっていますが、過剰に働くと、からだを傷つけてしまいます。年齢を重ねるごとに抗酸化作用は減るので、酸化を防ぐためにも野菜をしっかり食べてほしいのです。

●健康について意識したことがありますか?
「健康」とは普段意識していない「空気」のようなものです。からだが不調になったとき気付くのが"健康"です。
「病気」とは、からだが正常でない状態です。「健康」を維持する方法は、免疫力をつけることです。免疫力とは、外敵からからだを守るシステムであり、免疫力をアップする方法は、体温を上げることです。食事は、熱を生み出す元です。私達のからだは、60兆個の細胞からなりたち、細胞は、食べ物から作られています。
健康に生きるためには、1回1回の食事が大切です。さまざまな食品をバランス良く食べることです。なぜ寒くなると鍋料理が食べたくなるのかおわかりですね。熱い料理から料理の熱をからだに取り入れていたのです。体の芯から温める効果のある鍋料理や野菜の持つ力を利用して健康につなげてほしいのです。「健康は、財産です。」

「健康」を維持するには、以下3点の野菜の持つ力が必要です。
 
1.解毒力
2.抗酸化力
3.免疫力




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