平成24年度学院入学式
学院事務室
 
 梅の開花とともに春が訪れ、桜も咲き始めてきた4月5日(木)の10時から、当センター学院講堂において、新入生67名を迎え、平成24年度入学式を開催しました。
 今年度より、国立秩父学園附属保護指導職員養成所が国立障害者リハビリテーションセンター学院に組織統合され、児童指導員科が加わり6学科の入学式となりました。

 式典では、開式のことばに続き中島学院長から式辞がありました。式辞の中で学院長は、「これから皆さんは専門職となるための知識や技能を身につけるため、大変忙しい日々を送ることとなりますが、それでも学院の教育は『ハーフメイド』、半分ということです。残りの半分は、広く教養を身につけ、自分の目指す専門職が世の中でどのように役立つのかということを、自分の頭でじっくりと考えるということです。そうでなければ、将来専門職として困難な場面に立ち会ったときに正しい判断ができず、せっかく身につけた最新の知識が無意味に終わったり、習った技術が役立つどころか危険なことになってしまうという事態を引き起こしかねません。 学院の教育を粛々とこなす一方で、正しい判断ができるようになるために、広く教養を身につけ自分で考えるという能力を今まで以上に学院生活のなかで磨いていただきたい。 それが可能だと判断したからこそ、みなさんは入学できたのですから、自信を持って学院生活を送り、立派な専門職となっていただきたい。」 と、「ハーフメイド」という言葉をキーワードに、印象深いお話をされました。

  続いて、江藤総長より祝辞がありました。祝辞の中では、まず新入生の皆さんに対してお祝いの言葉が述べられた後、センターの概要やミッションについて触れられました。
 そして、「かつてはいずれの学科も、リハビリテーションに関わる専門職領域で、我が国唯一の養成機関であり、卒業後は臨床現場での活躍だけではなく、指導的立場に成長されることが期待されています。
 仕事は、障害のある方々と直接接触して、それぞれの専門的サービスを提供することであり、適切な接遇マナーを身につけ人のこころが分かる専門職となることが求められるとともに、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、言語障害、知的障害をもつ人々を支援するために、それぞれの障害の特性を理解し、特有の知識や技術を習得することが必要です。
 勉強することが多くて、実習も欠かせない領域ですので、時には困惑することがあるかもしれませんが、そうした時は気軽に、担任の先生方や先輩に相談して下さい。
 そして、ぜひ良い友達をつくって下さい。その友達は一生の財産となります。
 各学科の教官をはじめ学院生を支える職員の皆さまには、温かくも厳しい指導をよろしくお願いいたします。」
と述べられたあと、今から70年以上昔に、岩波新書で、「学生に与ふる書」を著した天野貞祐という方の言葉を引いて、「学生諸君! 私たちは明日に希望をかける。明日は何か新しい発展がありそうな、一層美しい太陽が輝きそうな気持ちがする。寝床に着くときに明朝起きることを楽しみにしている人は幸福である。」
と、温かい励ましとともにお話をされました。
 引き続き、新入生紹介のあと、手話通訳学科2年の吉田亜紀さんが、歓迎のことばを述べました(文末に全文掲載)。
 その後、いただいた祝電を披露し、当日参列された当センターの幹部職員の紹介を行った後、学院歌を斉唱して終了しました。
 以下、各学科の教官から、新入生について紹介します。 

言語聴覚学科
 言語聴覚学科には34期生29人が顔を揃えました。男性5名、女性24名の構成です。平均年齢24.7歳、心理学、言語学、社会福祉、教育の専門を修めた方が多いのは常ですが、今年は工学、医学研究科、法律などの修士課程や研究者出身、または、教師や保育士といった専門職を辞して入学してきたという方たちも多く、それぞれの専門分野や職場の経験、知恵、若さ、さまざまな個性がぶつかり合って、また、活発なクラスができあがる予感がしています。

義肢装具学科
 31期生として10名が新たなスタートを切りました。男性6名、女性4名の構成で、高卒6名、大卒4名となっています。最年長27歳、最年少は18歳で平均年齢20.5歳と今年度は例年に比べて非常に若く、フレッシュな年齢構成となっています。各人のバックグラウンドはスポーツ系、理工系、英文系と例年同様バラエティに富んでいます。それぞれ今まで学んできたことは別々ですがこの4月から新しいスタートを切り、3年後には志を持つ義肢装具士となるべく、日々成長していって欲しいと願っています。

視覚障害学科
 視覚障害学科は3名の新入生を迎えました。女性2名、男性1名。年齢は24歳から28歳までの2つ違いで、出身地は鹿児島県、京都府、埼玉県です。3名とも社会経験を経て、志をもって入学しました。
 多少教室が広く感じられますが、二人で使う長机を一人でゆったり使え、どの講師の眼も行き届く(逃れられない?)メリットがあります。
  まだ硬くかしこまった雰囲気の3名ですが、これから少しずつ自分らしさを発揮し、メリットを大いに活用して、専門職として真に貢献できる知識と技術を身につけて欲しいと願っております。

手話通訳学科
 今年の新入生は11名。50代1名を除くと全員が20代という、例年になく平均年齢が若い23期生が新しい春を迎えました。50代の学生は同期生から「パパ」と呼ばれ、クラスの半数が週2回のバレーボール部に参加するなど、元気で明るい雰囲気です。日本語とは異なる言語である日本手話を第二言語として習得するのは簡単なことではありませんが、ろう者から必要とされるような手話通訳士を目指して、健康に留意しながら勉学に励んでほしいと思います。

リハビリテーション体育学科
 今春、22期生2名の新入生を迎えました。1人は理学療法士の国家資格を取得したチャレンジ精神旺盛な学生です。もう1人は大学の心理学科で精神保健福祉を学んできました。2人共、入学式の翌日から“ジャージ”に着替え「リハ体育」の貫禄はバッチリです。障害のある人の健康づくりを体育・スポーツで支援できる専門家を目指し、充実した2年間を過ごして欲しいと願っています。

児童指導員科
 児童指導員科は、今年度から学院の6番目の科として秩父学園附属保護指導職員養成所養成部から組織統合されました。
 この4月、児童指導員科には男子3名と女子8名の11名が入学しました。  
 出身学部は、教育や経済、工学、芸術など、様々ですが、講義、演習、実習を乗り越えて、1年後には福祉分野の専門職として立派に成長できることを願っています。

歓迎のことば
 日ごとに暖かさが増し、各地から花の便りが届く季節となりました。新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。在校生一同心より歓迎いたします。
 新入生の皆さんはそれぞれの思いや決意を胸に、今日の日を迎えられたことと思います。ちょうど1年前、新入生としてこの場に臨んだ自分自身の期待や不安にあふれる思いを昨日のことのように思い出します。夢に向かって勉学に励むと共に、この学院でしか味わえない経験を重ね、仲間と交流を深め、11日を大切に過ごしていただきたいと思います。
 本学院は、言語聴覚学科、義肢装具学科、視覚障害学科、手話通訳学科、リハビリテーション体育学科、そして今年度から秩父学園の児童指導員科が統合され、6学科となりました。
 それぞれの分野において、一流の教官や外部講師の指導の下、専門職になるための多彩なカリキュラムが組まれています。
 センター内には、病院、職業訓練や生活訓練を行う自立支援局、研究所などがあり、見学や実習でお世話になる機会があります。学院内における講義だけではなく、センター内で実際の現場を体験できる、非常に恵まれた環境にあるといえます。
 普段の講義以外にも、学科対抗のスポーツ大会や交流会、センターの職員の方々や利用者の皆さんと共に協力して行う体育祭や並木祭などの行事もあります。多くの方々と交流を持つことで皆さんの視野は広がり、必ずや将来に役立てることができるでしょう。是非、積極的に参加してください。
 さて、昨年3月11日に起きた東日本大震災から1年が過ぎました。今なお、大変な避難生活を余儀なくされている方々には心よりお見舞いを申し上げるとともに、自分にできることは何だろうか、と考え続けた1年でもありました。
 人生はいつ何が起こるかわかりません。学院生活も同じです。楽しいことばかりではなく、悩み、苦しむことも多々あるでしょう。そんな時に支えとなるのが、今隣に座っている同期の仲間です。共に支え合い、乗り越えてください。困ったときは遠慮なく上級生に相談してください。わたしたちが上級生にしてもらったことを、今度は皆さんにお返ししていきたいと思っています。
 最後になりますが、新入生の皆さん、いよいよ学院生活のスタートです。希望・努力・感謝の思いを忘れず、有意義な学院生活を過ごされることを心より願うと共に、皆さんのご入学を心からお祝いし、歓迎のことばとさせていただきます。


平成24年4月5日 
手話通訳学科2年 吉田 亜紀


写真 学院入学式
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