義手ユーザーに向けて情報発信!
〜はじめて義手をつくる方へ向けたパンフレット「はじめての義手」の紹介〜

研究所 義肢装具技術研究部 三ツ本敦子

 国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 義肢装具技術研究部では、義肢のリハビリテーションに関わる1部門として義手や義足を製作しており、その過程で見出された課題の解決に取り組んでいます。これまで多くの義肢ユーザーとお会いする中で、義肢やリハビリテーションに関する情報を望む声が多く寄せられていました。この事をきっかけに、切断リハビリテーションに関する各部門と連携して、義肢ユーザーに向けた情報発信を始めました。
 そもそもなぜこのような要望が寄せられていたのかと考えると、一般的に義肢に関する書物は専門誌ばかりで、ユーザー向けの書物はほとんどありません。特にはじめて義肢をつくる方とそのご家族にとっては、「どんな種類があるのか?」「どこで作れるのか?」「どのような訓練が必要なのか?」「どのぐらいの価格なのか?」「保険が利用できるのか?」など、確認したい事柄はたくさんあります。オーダーメイドの義肢で実生活を送るに至るまで思いのほか情報量は多く、医療側からの口頭のみの伝達では理解することが困難な場合もあります。
 このような問題を解決するために、現在は義手と義足のユーザー別に2種類のパンフレットを配布、配信しています。今回は、昨年完成した義手のパンフレットの内容を簡単に紹介したいと思います。

 <<義手パンフレットの紹介>>
 パンフレットのタイトルは「はじめての義手」です。ちなみに表紙を飾っている言葉とイラストは、当センターで義手をつくり、操作訓練を行った方が描いたものです。義手側でペンと筆を持ち、作業している写真が掲載されています(図1)。
図1 表紙
図1 表紙

 掲載内容は、大きく分けて以下の4つを柱とし、義手の種類をはじめ、訓練の流れや保険制度を含めた情報について、写真やイラストを交えながら分かりやすくまとめました。

① 義手の種類、構成そして仕組みについて
② 入院から退院までの流れと義手操作訓練について
③ 義手費用と費用を補助する制度について
④ Q and Aと義手ユーザーからのメッセージ

 完成したパンフレットは全22ページの小冊子となりました。また、パンフレット作成の趣旨と写真の掲載にご賛同していただきました義手ユーザーの方々のご協力・同意を得て完成に至りました。
 現在義手を使用している10名のユーザーに対してアンケート調査を行い、パンフレットの感想を伺いました。好評だった上位3ページは、@実際の義手訓練の詳細について写真を交えて紹介したページ(図2)、そして、A先輩の義手ユーザーによる訓練の感想や新規の義手ユーザーへのアドバイスが記載されているページ(図3)、最後にB義手の種類の中でも比較的新しい筋電義手(図4)に注目が集まっていました。

図2 義手操作訓練について
図2 義手操作訓練について
図3 義手ユーザーの声
図3 義手ユーザーの声
図4 筋電義手について
図4 筋電義手について


 パンフレット作成当初は、当センターに入院した方に向けたものでしたが、現在は義肢装具技術研究部ホームページ上でもパンフレット「はじめての義手」を公開しています。
リハビリテーションに関わる医療従事者をはじめ、義手の研究者、義手ユーザーのご家族、そして義手を全く知らない方に対して、少しでも「義手」を知っていただけるのではないかと考えています。

義肢装具技術研究部ホームページ パンフレット掲載ページ
http://www.rehab.go.jp/ri/hosougu/User.html

戻る(o)