「頸髄損傷者に対するリハビリテーション研修会」参加報告

自立支援局自立訓練部

 去る平成25年12年7日(土)、8日(日)の2日間にわたり、伊東重度障害者センター主催(別府重度障害者センター、当センター自立訓練部共催)による「頸髄損傷者に対するリハビリテーション研修会」が、伊東市観光会館別館、伊東重度障害者センターにて開催されました。
 今回の研修会では、国立施設が有する頸髄完全損傷者に対するリハビリテーションのノウハウを医療機関や福祉関係機関等に広め、理解を深めてもらうことを目的として開催されました。当部からは、小田島明自立訓練部長以下、看護師2名、理学療法士2名、作業療法士3名、生活支援員2名の合計10名が参加しました。
 第1日目は、飯島節自立支援局長の開会挨拶から始まり、当センター病院の緒方徹障害者健康増進・スポーツ科学支援センター長による「機能回復と健康づくり−先端技術は何をもたらすか−」と題した基調講演が行われました。緒方センター長からは、最新のiPS細胞をはじめとする再生医療に関する最新研究知見や問題点、再生医療がどのように機能回復につながるか、また、障害者健康増進・スポーツ科学支援センターが進めている健康づくりプログラムに関する紹介等を分かりやすく、解説、説明していただきました。
 事例報告では、国立施設が標準化を進めている「レベル別ADLの達成目標及び支援期間」に準じた、典型的なレベル別支援事例の発表がなされ、当部からは輪竹一義理学療法士がC6BUレベルの女性で職業リハビリテーションセンターを目指す事例の発表を行いました。別府重度障害者センターは、C6BTレベルの男性で在宅就労につながった事例を発表し、主催の伊東重度障害者センターは、C6Aレベルの女性で家庭復帰した事例について生活支援、理学療法、作業療法、職能訓練等全ての部門が発表し、支援の有り様がより細かく分かるように事例報告が行われました。また、最後に「レベル別ADLの達成目標及び支援期間」の標準化に向けた作業の中間発表が行われました。
 パネルディスカッションにおいては、坂本洋一和洋女子大学教授を座長とし、「頸髄完全損傷者の地域移行支援−相談支援事業者との連携−」をテーマに相談支援事業所、行政、施設、当事者からなるパネラーとの意見交換がなされました。そして頸髄損傷者の地域生活を支援していくためには、施設と相談支援事業所や市区町村との連携がいかに重要であるかが浮き彫りとなるディスカッションが展開されました。
 最後に第1日目の閉会にあたり、西村茂伊東重度障害者センター所長から、本日、行われた研修会においてもわかるように、頸髄損傷者の支援には、高度な専門技術、設備、マンパワー等が必要であり、それらを有している国立施設を是非、上手く活用してほしいこと等が述べられ、閉会の挨拶が行われました。
 第2日目は、より実践的な研修を行うために会場を伊東重度障害者センターに移し、理学療法士、作業療法士、運動療法士等を対象とした実技Tと看護師、介護員、生活支援員等を対象とした実技Uに分かれ、実技研修が行われました。実技Tの理学療法部門では、車椅子・ベッド間、車椅子・自動車間の移乗実技、作業療法部門は、バルーンを使った頸損体験、スポーツ部門では、車椅子操作等の実技研修が行われました。一方、実技Uでは、看護部門が自己導尿、介護部門がベッド・車椅子間の移乗介助、ベッド上での除圧、職能訓練がパソコン訓練体験等の実技研修が行われました。
 今回の研修会では、北海道から沖縄県まで120名を超える受講者が集まり、大変、活況を呈していました。参加した当部の職員も、実技では積極的に質問を行い、伊東重度障害者センターの職員に支援方法を再確認するなど、改めて研修の大切さを感じた2日間でした。最後になりますが、事例発表にご協力いただいた利用者の皆様や、準備から運営までご尽力された伊東重度障害者センターをはじめとする研修会開催関係者の皆様方に厚く御礼を申し上げます。

 

【飯島自立支援局長挨拶】【緒方センター長基調講演】
  
【輪竹理学療法士発表】【シンポジウム】
  
【西村伊東重度障害者センター所長挨拶】【介護実技研修】



戻る(o)