近隣にある商業施設での研修会に参加して
                病院リハビリテーション部ロービジョン訓練  中西 勉


 当センターの近隣にあるPARCO新所沢店で、1月28日・30日に行われた視覚障害者の誘導に関する研修会に講師として参加しました。この研修会は今回で5回目となります。参加者は、同店の社員やテナントの店員の方達です。
 同店によると、以前は視覚障害のある買い物客の誘導について見よう見まねで対応していたそうですが、同様の買い物客が増えてきたため、誘導技術を身に付けた方がよいとの考えに至ったそうです。研修会の目的は、視覚障害のある買い物客が来店したときに屋内での誘導や説明が行えるようにすることです。研修では、始めに視力や視野などの視機能についての解説をし、次に見えにくい状態が体験できるシミュレーションゴーグルを着けて、文字の読み書きや会場内の歩行をしました。そして、屋内で必要な誘導の実技を行い、さらに商品や物の位置の説明方法、商品や代金・釣り銭の受け渡し方法などのコツも説明しました。
写真:研修会の様子
 シミュレーションゴーグルを装着してのロービジョン体験では、読み教材がよく見えない、文字を書き入れるところのアンダーラインに気づかなかった、他の人がどこにいるのかよくわからないので動くとぶつかりそうなどの感想が聞かれました。さらに、今までの疑問も解消されたという感想もありました。それは、来店した白杖を持ったお客は目が見えているようだったので不思議に思っていたが、今回の研修である程度見えている人が多いことを知って納得できたということでした。また、これで安全な誘導ができる、接客に用いたいとの声もありました。参加者にとって、研修により視覚障害者の基本的な誘導技術が身に付くとともに、説明の仕方や視覚障害に関する知識が得られたと思います。
 同店は当センターの近隣にある商業施設であり、当センターの利用者や患者の利用も多いと思われます。このような場所に出かけることにより、センターでの訓練を地域の中で実践、復習する機会が得られます。また、この商業施設には、約千人の社員や店員の方が働いているそうです。このような活動が続くことにより、彼らが視覚障害者の誘導が可能となるだけではなく、障害のある人に興味を持ってもらうことで、この地域が多くの人にとって生活しやすいエリアになるのでないかと考えます。




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