平成25年度理療教育第35回卒業式
                自立支援局 理療教育・就労支援部 理療教育課 池田 和久

一つ二つと咲き始めた梅の花びらに春の温かいしっとりした雨粒が流れる中、3月5日に国立障害者リハビリテーションセンター講堂で理療教育第35回卒業式が行われました。
 今年度の卒業生、修了生は専門課程18人、高等課程3人の21人でした。先月の国家試験を終えてから十日が過ぎ、勉強や余暇に充実したセンター生活を振り返りながら温和な表情で級友と名残を惜しみつつ、卒業式に臨んでいました。
 村上理療教育・就労支援部長の開式の言葉の後、中村総長から一人ひとりに卒業証書が手渡され、しっかりと握手を交わしました。
 中村総長の式辞は、支援していただいた多くの方々への謝意を表すとともに、仕事について「英語ではいろんな意味がありますが、患者さんの気持ちを理解し、勉強をして、技術を磨き、信頼される愛されるProfessionとして活躍してほしい。臨床現場で、良くいった点、難しかった点があればメモとして残すとやがて大きな財産となり、それが仕事が面白い、あるいは充実感につながり、やがて天職(使命)Vocation、callingと感じられることがあるでしょう」という、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の存在意義とその職責の重さを感じさせる餞のお言葉でした。卒業生、修了生には、ぜひ「Profession」を追究していただきたいと存じます。
 田村厚生労働大臣からは「障害者の方が地域の一員として共に生きる共生社会の実現を目指すためにさまざまな施策を行っており、卒業、修了される方のこれからの歩みは後輩への道しるべとなるもので、大きな励みになる。地域社会で信頼される専門職として活躍してほしい」と、また上田埼玉県知事からは、埼玉県の偉人全盲の学者塙保己一に触れ、視覚障害者のジャーナリストでさまざまな分野で活躍されている高橋實さんの活躍を紹介され、「人は誰にもその人に応じたミッション(使命)が与えられている。これからの人生、さまざまな困難を乗り越え、そのミッションを果たしてほしい」と、祝辞を頂きました。
  さらに当センターの同窓会である東光会山田会長より、所沢の地にセンターが移転してきた過去の歴史を振り返りながら、今年同窓会60周年を迎えるに当たり、卒業・修了される皆さんが、新しい未来を切り開いていってほしいと、お祝いの言葉を述べられました。心のこもったメッセージに、卒業生の皆さんは一語一語をかみしめるように耳を傾けていました。
 来賓の紹介、祝電の披露と続き、在所生を代表して専門2年生假谷幸子さんが送る言葉を述べられました。期末試験前に分からないところを、自分も勉強になるからと快く教えていただいたこと、並木祭(当センター文化祭)で、あん摩体験コーナーに施術者として積極的に参加いただいたエピソードを披露され、感謝と希望ある前途を祝す言葉が述べられました。
 そして卒業生、修了生を代表して、専門3年生三上伸夫さんが別れの言葉を述べられました。ある日突然、眼に異常を感じ仕事を辞めざるを得ず、しかし、生活していかなくてはとセンターに入所し、もがきながらも多くの方々の支援を受けながら今日にたどりついたことが、血のにじむような文面に描かれていました。尊敬する師の言葉「医は意なり。意というものを会得せよ。手にもとられず。画にもかかれず」を学び、親が子供に接するような優しさを持って施術をしていきたい、初めて長生きしたいと思ったと、これからの人生に力強く踏み出す決意が、私たち職員の胸にうれしく響いてきました。
 最後に、新たな一歩を歩み出した卒業生、修了生に期待を込め、温かい拍手で見送りました。 これから始まる新たな生活で、地域の中の一員として、信頼される施術者として責任の重さを感じながら活躍されることを期待します。
写真1:中村総長より卒業証書を受け取る卒業生
中村総長より卒業証書を受け取る卒業生


写真2:中村総長の祝辞
中村総長の祝辞


写真3:卒業生、修了生を代表して三上伸夫さんの答辞
卒業生、修了生を代表して三上伸夫さんの答辞



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