平成24年1月から始めた災害時要援護者支援に関する勉強会についてご紹介します。災害時要援護者は災害時に支援を必要とする人のことで、障害者、高齢者、乳幼児、妊婦、外国人、病気の人等を指します。平成25年に改正された災害対策基本法では災害時要配慮者と記載されるようになりました。また、特に、避難行動に支援が必要な人を災害時避難行動要支援者と呼ぶようになりました。
この勉強会は、所沢市にお住いの障害者、障害者の支援者(施設職員、家族、ボランティア)、行政(市役所危機管理課、障害福祉課、子ども支援課、福祉総務課、学校施設課、保健センター等)、社会福祉協議会、包括支援センター、民生委員、町内会役員、自主防災組織役員と国リハ職員(総務課、国立秩父学園、発達障害情報・支援センター、研究所障害福祉研究部)にお声かけして、自助と共助を高める具体的な方法とそれを補う公助の役割を明らかにすることを目的にしています。
防災勉強会では、地域の組織と連携しながら、年に数回の講演会を行ってきました。平成26年3月から並木8丁目地区では当事者によるグループができ、さらに具体的な災害対策が始まりました。平成27年度からは、勉強会も研究主体から地域の連携の場としたいと考えています。ご関心をお持ちくださる方のご参加をお待ちしています。
毎年8月最終土曜日に行われる所沢市総合防災訓練にも、平成25年度は3校に9名、平成26年度は3校に10名の障害当事者の参加を地域の自主防災組織や町内会と支援し、地域との交流と理解が促進されることを示しました。例えば、体育館の入り口の3段程度の段差に対して車いすを持ち上げる方法(図1)、視覚障害者の誘導の方法、聴覚障害者への声かけの方法を地域の方に知っていただき、聴覚障害者にはアナウンスを画用紙に書いて掲示することの有効性を示しました(図2)。
並行して実施している厚生労働科学研究「障害者の防災対策とまちづくりに関する研究」では、防災マニュアルとして、「発達障害のある人の防災実践BOOK 地震に備えていのちを守る」「自閉症の人のための防災・支援ハンドブック(マルチメディアデイジー版)」「災害と発達障がい」などを作成しました。勉強会のこれまでの記録と防災マニュアルは、障害福祉研究部のホームページから参照できるように準備中です。
回 | 演題 | 講師 | 参加者数 |
1 | 災害時要援護者支援における各人の役割 | 鍵屋一(板橋区役所 防災部長、障害福祉部長) | 25 |
2 | 東日本大震災における障害者の状況と要援護者支援GIS | 水谷真、菅沼良平(社会福祉法人 AJU自立の家 わだちコンピュータハウス) | 34 |
3 | 市役所=国リハ連絡会 | 16 | |
4 | 「ひとりぼっちをつくらない!」 | 北村弥生(新所沢地域福祉活動連絡協議会主催 第三回防災勉強会) | 50 |
5 | 災害時の要援護者支援 | 北村弥生(国リハ研究所障害福祉研究部)(「災害時の要援護者支援」 所沢ボランティア連絡協議会 共催) | 85 |
6 | 災害時個人避難計画に必要な知識と意識 | 八幡隆司(特定非営利活動法人 ゆめ風基金) | 50 |
7 | 聴覚障害者と支援者の災害時の備え | 宮澤典子(国立障害者リハビリテーションセンター学院 手話通訳学科) | 29 |
8 | 並木町8丁目防災勉強会1 | 並木エイト | 12 |
9 | 地域避難訓練での当事者参加 | 宇田川真之(人と防災未来センター研究部) | 80 |
10 | 並木町8丁目防災勉強会2 | 並木エイト | 17 |
11 | 並木町8丁目防災勉強会3 | 並木エイト | 7 |
![]() 図1 体育館入口の段差で、車いすを上げる。 |
![]() 図2 記入した画用紙をイーゼルに置いたところ |
![]() ![]() ![]() 図3 左から、「自閉症の人のための防災・支援ハンドブック(マルチメディアデイジー版)」、 「災害と発達障がい」、「地震に備えていのちを守る」 |