こころのバリアーを取り除こう!ワクワク・ドキドキ福祉体験
〜子ども体験デー開催〜

企画・情報部企画課

 障害者基本法第9条には、『国民の間に広く基本原則に関する関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加することを促進するため、障害者週間を設ける。』と記載しており、12月3日から9日までの1週間は障害者週間となっています。当センターでは障害者週間のイベントの1つとして国立障害者リハビリテーションセンター子ども体験デーを実施いたしましたので、ご報告いたします。
 平成26年12月3日(水)に近隣の小学校2校が国立障害者リハビリテーションセンターの子ども体験デーに参加しました。
 今回体験したのはアイマスク体験、障害者スポーツ体験、手話体験、福祉機器体験の4項目です。

1 アイマスク体験
 視覚障害についての話とアイマスクを着けて歩行を行いました。
 視覚障害がある方が情報を得るためにという問題に対し、皆さんと意見を、出しながら、聞く・触る・匂いを嗅ぐといった、聴覚、触覚、嗅覚等を駆使していることを学びました。
 続いて、アイマスクを着け視覚障害の疑似体験をしました。
アイマスクを着けるとまったく見えなくなりました。進行方向もわからず、歩行すること自体容易ではありません。
 そこで、友達同士で誘導を行いました。
 友達の誘導を頼りになんとか歩行することができました。
 誘導するに当たり、3つのポイントの説明がありました。
 一つ目は、視覚障害の方のペースに合わせて歩くこと。歩くペースが適切であるか確認すること。
 二つ目は、今どこを歩いているか説明すること。
 三つ目は、並んで歩くときは2人分の道幅を考えて歩くこと。
 工夫をすれば、視覚以外の方法によって情報を得ることができること、誘導をするときには、誘導される方のことを考えることについて体験いただけたかと思います。
 担当者の問いかけに自分の意見を積極的に回答している子どもたちが印象的でした。
2 障害者スポーツ体験
 今回体験していただいたのは視覚障害者のスポーツであるゴールボールです。この競技は1チーム3人が黒く塗られたアイシェード(目隠し)を着け、中に鈴が入ったゴムボール(1.25kg)を相手ゴールに向かって投げ、相手ゴールラインをボールが通過すると得点になります。そのため守備ではボールの鈴の音を頼りに相手の攻撃を阻止します。コートのラインには手でさわるとラインがわかるようにたこ糸の上にラインをひいています。これで方向と位置を知ることができます。
 時間の関係で、今回はパスの練習をしました。3人1組になって、ポジションにつきます。そこで味方にパスをします。パスをするのに大事なことは味方に向かって投げることですが、全員アイシェード(目隠し)を着けているため、味方が何処にいるのかわかりません。
 ですので、まず大きな声で味方の名前を呼び、味方に返事をしてもらいます。その声で味方の位置を判断し、パスをします。
 パスを受ける方は、名前を呼んだ方向に体を向け、集中してボールの転がる音(鈴の音)を聞きます。そしてボールが来たら、飛びついてキャッチします。よく音を聞いていないと、ボールは足元を通過してしまいます。慣れてくるとうまくパスがつながるようになり、大変盛り上がっていました。
 最後にゴールボール選手のデモンストレーションを見学し、大きな歓声が上がっていました。
写真:障害者スポーツ体験の様子
3 手話体験
 当センター学院手話通訳学科の聴覚障害の教官による手話体験を行いました。
 前半は手話についての○×クイズを行い、手話は世界共通ではないこと、手話には方言があることなどを学びました。
 後半は手話の授業の体験ということで、言葉でのコミュニケーションを禁止した授業を体験してもらいました。
 言葉でのコミュニケーションを禁止していますので、講師からの言葉による説明もありませんし、隣の友達に聞くこともできません。
 子ども達はみな、集中して講師を見ていました。
 今回はプロジェクターによる映像(イラスト)と手話によって講義を行いました。動物のイラストを見せてその後その動物を手話で伝えます。子ども達はイラストの動物の手話だと理解し、すぐに手話を覚えます。
 「ねずみ」、「うさぎ」、「イヌ」、「うま」、「にんげん」の手話をすぐに覚えていきました。
 最後に覚えた手話でゲームを行いました。
 子ども達に手話によるコミュニケーションを体験いただけたと思います。
写真:手話体験の様子
4 福祉機器体験
(1)電動車椅子体験
 電動車椅子の操作を体験してもらうため、スラロームコースを走ってもらいました。電動車椅子は肢体不自由な方が移動するため、少ない操作で動作することができます。
 まずは、車椅子ユーザーさんの見本走行を行ってもらい、その後実際に 乗車しました。狭い幅での走行や切り返しは意外に難しいことを感じてくれたのではないでしょうか。
写真:福祉機器体験の様子
(2)筋電義手体験
 筋電義手とは、脳から筋肉に送られる微弱な電流である筋電を義手に送り、義手を制御するものになります。
 今回は二の腕に電極を付け、手首を動かす動作をすることによって、筋電義手を制御する体験をしました。
 まず、当センターの義肢装具士より手を切断した方がこの技術により、ものを持ったり、つかんだりできることについて説明を受けました。
 その後、体験を行いました。みんな初めての体験に興味深々でした。
写真:筋電義手体験の様子
(3)車いす対応移動式トイレカー見学
 日本に4台しかない車いすに方も利用できるバイオトイレのついた車両の紹介をしました。
 大きなイベントの際に車いすの方がなかなかトイレを利用することができないため、開発されたものです。リフトで車いすごとトイレの中へ入ることができます。また、バイオトイレになっていて、臭いも軽減されています。
写真:車いす対応移動式トイレカー見学の様子
 国立障害者リハビリテーションセンター子ども体験デーを無事終了することができました。
 今回は障害がある方もない方も一緒になってできるものを中心に体験をしていただきました。障害に関係なく一緒に楽しんでくれたら幸いです。
 今後も「共生」を目標に啓発活動を行っていきたいと思います。

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