平成28年度 障害者週間記念式典の開催について

企画・情報部企画課

 去る12月9日(金)、当センター講堂において、障害者週間を記念した式典を利用者・職員出席のもと開催しました。
 式典では、当センター総長及び国立職業リハビリテーションセンター所長の挨拶があったのち、デイジー録音及び編集、点訳において15年・10年・5年以上の長期にわたり利用者に対しボランティア活動をされた方々並びに職場体験実習及び就労支援利用者の雇用にご支援いただいた事業所への感謝状の贈呈が行われました。式典当日は9名の方に登壇いただき、日ごろの感謝の気持ちを込め、厚生労働省障害保健福祉部施設管理室長から厚生労働大臣感謝状と障害保健福祉部長感謝状が、当センター総長から総長感謝状がそれぞれ記念品とともに贈呈されました。
 最後に、センター利用者代表からボランティアの方々及び事業所への感謝のことばが述べられました。ステージ正面にて堂々と述べられた感謝のことばは、日ごろの支援に対する御礼に始まり、「これからも上手に障害とつきあって生きていくことこそが支えてくれた人への恩返し」と力強い宣言で締めくくられました。

画像:障害者週間記念式典

 閉会後、第2幕としてディジュリドゥ奏者・画家で高次脳機能障害当事者のGOMA(ゴマ)氏の特別講演を四ノ宮生活訓練課長との対談形式で実施しました。ディジュリドゥとはオーストラリア原住民族であるアボリジニの伝統的な民族楽器で、まるで大地を震わせるような重低音が特徴です。GOMA氏はディジュリドゥ奏者として国内外で活躍していたところ、交通事故に遭い、高次脳機能障害と診断されました。今回の講演では、「現在のアーティスト活動及び高次脳機能障害と生きること」というテーマでお話しいただきました。
 ディジュリドゥはあまり一般には馴染みのない楽器ではありますが、序盤に放映されたライブ映像の迫力、そして熱く魅力を語るGOMA氏のトークに、開始数分にして会場がその魅力の虜となりました。高次脳機能障害と診断されてからは多くの戸惑いや困難がありつつ、現在まで努力されてアーティスト活動をされていることをお話しいただきました。記憶障害によりここ数年の記憶が飛んでしまい、新しい物事も覚えづらくなってしまったこと、ディジュリドゥのことすら忘れてしまったこと。また、受傷直後から突然、アボリジニの絵画を彷彿とさせるような点描画を描き出したこと。そんな中お嬢様の「もう一度パパのディジュリドゥを聴きたい」の声を頼りに、再度ステージに立てるまでになったそうです。
 講演では、GOMA氏の製作した点描画「ひかり」と「雪」がスクリーンに映し出され、本人の説明が加えられました。氏の感情のコントロール源でもある点描画は、独特の心象世界を映し出しており、心の奥底を揺さぶられるように感じました。今回紹介のあった作品は氏のお気に入りの2点とのことです。この2点は実は会場に現物を持参いただける予定だったのですが、梱包して玄関に置いたまま忘れてきてしまったそうです。現在進行形で障害と生きていらっしゃるのだと感じる出来事ですが、講演では終始正直に丁寧に受け応えされる姿に、誠実そうなお人柄が感じられました。
 終盤設けた質問コーナーでは、時間が足りず途中で打ち切られるほどに手が挙がり、利用者の関心の高さがうかがえました。すらすらと回答いただく中、「自分が障害者であることで何か娘さんに影響があると思いますか」という質問には少し悩んでいたようでした。少し考えた後、障害を当たり前のものとして成長している、優しい子に育ってほしい、と、笑顔で回答いただくことができました。
 最後にGOMA氏から「過去を振り返らず、前向きに」とメッセージを頂戴し、利用者代表からの花束の贈呈ののち、特別講演は盛会のうちに閉会しました。

画像:GOMA(ゴマ)氏の特別講演

 この度感謝状を贈呈いたしましたボランティアの皆様及び就労においてご支援いただいている方々、そしてGOMA氏のますますのご活躍を祈念して障害者週間記念式典のご報告とさせていただきます。


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