可塑性に基づくリハビリ

4. 脳可塑性への働きかけに基づくリハビリテーション

脳が持つ可塑性に働きかけることで、リハビリを促す技術の開発を目指します。

反復経頭蓋磁気刺激法とニューロフィードバック

近年、脳活動に直接干渉することで可塑性に働きかけ、リハビリを促す技術の有効性が報告されてきています。このような技術の一つに、反復経頭蓋磁気刺激法(rTMS)を用いて非流暢性失語を治療するというものがあります。たとえばNaeser et al.(2005)は、左前頭葉に損傷のある非流暢性失語患者に対し、右半球におけるブローカ野の相同部位へ低周波 rTMS を行うことで長期的に呼称課題の成績が改善されることを報告しています。一方、特定の脳領域の活動を増強させることで関連する認知機能を向上させるニューロフィードバックという技術が近年注目を集めています。ニューロフィードバックとは、fMRI等で計測した脳活動を被験者自身にフィードバックし、そのフィードバックに基づいて脳活動を増強させるように促す技術のことです。我々は,言語機能を担う領域を fMRI ニューロフィードバックで訓練し、同時に言語処理を阻害する領域の活動を rTMS で抑制することで、言語障害を改善できるのではないかと考えています。反復経頭蓋磁気刺激法(rTMS)とfMRIニューロフィードバックを組み合わせることでこの仮説を検証し、言語障害に対するリハビリテーション応用を目指します。