H.C.R.2009 研究所ブースのご案内

脳・自立する力

神経科学が拡げる福祉機器の可能性


『神経科学』は、近年の急速な発展に伴い、それまでの基礎科学の側面だけでなく応用科学の側面を持つにいたっています。国立障害者リハビリテーションセンター研究所では、この神経科学をリハビリテーションや福祉の分野へと展開させ、障害のある方の自立支援や社会参加に貢献するための取り組みが行われています。その最近の成果を「脳波で操作:ブレイン−マシン・インターフェイス」、「運動機能補助からニューロリハビリテーションへ」、「認知機能の拡張に向けて」の3つのコーナーで紹介します。


脳波で操作:ブレイン−マシン・インターフェイス

脳波による生活環境の制御


VR-BCIシステムの写真1

脳からの信号を読み取って機械を操作する技術であるブレイン−マシン・インターフェイスを用いた生活環境制御システム(BMI-ECS)の展示を行ないます。この技術により、運動に障害をもった方でも身体を動かすことなく機械を操作することが出来ます。このBMI-ECSを、実空間とバーチャルリアリティ(VR)空間で実現化したシステムのデモを行います。


運動機能補助からニューロリハビリテーションへ

歩行動作リハビリによる脊髄神経の再学習


ニューロリハ

脊髄は脳とからだをつなぐ神経回路です。最新の研究成果から、脊髄自体にも運動動作を学習したり、訓練によって神経回路を再構築する機能(可塑性)があることが分かってきました。こうした脊髄神経の可塑性やその原理を用いた歩行機能再獲得の試みを紹介します。また、屋外用歩行補助訓練機の展示と他動的歩行動作訓練機ロコマットの映像展示を行います。


認知機能の拡張に向けて

支援PDAソフトと携帯電話アプリ

手順支援機能のPDA画面の一例、画面をタッチすることで次の手順が表示される(例は職業訓練課題のナンバリング機器の操作の一部)。

  脳外傷や脳血管障害などの後遺症で記憶や注意、遂行機能などに障害が発生する場合があります。そのような高次脳機能障害のある方の日常生活や就労、職業訓練を支援する携帯情報端末(PDA)ソフトウェアと携帯電話アプリケーションを開発しています。手順支援機能、スケジュール管理機能、アラーム管理機能などがあります(本支援は独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 国立職業リハビリテーションセンターならびに明電ソフトウエア株式会社との共同で実施しました)。

携帯電話を利用した自発的行動の支援

携帯電話を利用した支援装置

  携帯電話は、画像や音声といった複数の種類の情報を組み合わせて呈示できます。携帯性の良さから、幅広い場面で認知機能に障害のある人の情報獲得を支援し、行動範囲を拡大するツールとしての応用が期待されています。展示では、携帯電話により、自閉症者の自発的な行動開始を支援した事例を紹介します(本支援は、国立秩父学園と共同で実施しました)。

国リハとH.C.R.15年

  今年は国立障害者リハビリテーションセンター研究所がH.C.R. への出展をはじめて15回目の節目の年となります。「国リハとH.C.R.15年」のコーナーでは、出展をはじめたきっかけや出展テーマの推移、過去のパンフレット等を紹介します。14年前に出展したPC9801で動くコミュニケーションソフトやモールスキーボード、最近開発した透明文字盤によるコミュニケーション支援ソフト等を並べてご覧頂きます。

出展テーマの推移

第36回(2009年):脳・自立する力〜神経科学が拡げる福祉機器の可能性〜
第35回(2008年):思いどおりに動かしたい―障害者の意思を検出・増幅する技術―
第34回(2007年):移動に挑戦する
第33回(2006年):活動し、参加する力 (科振費 重要課題解決型研究プログラム 成果発表)
第32回(2005年):活動し、参加する力 (科振費 重要課題解決型研究プログラム 成果発表)
第31回(2004年):認知・知的障害のある人のための社会参加支援ツール
第30回(2003年):あなたがつかう福祉機器
第29回(2002年):福祉用具で広がる可能性
第28回(2001年):オーファン・テクノロジーの開発
第27回(2000年):車いすから立位歩行へ
第26回(1999年):福祉機器の適合
第25回(1998年):肢体不自由者の自立を支援する機器
第24回(1997年):『福祉機器の評価』
第23回(1996年):障害者用コミュニケーション機器
第22回(1995年):研究所で開発された機器