開発会議B:第三回

開催概要

日時: 2014年1月19日(日)
場所: 国立障害者リハビリテーションセンター研究所 第二会議室
参加者: 【ユーザ】 3名(介助者2名),【開発者】 5名,【スタッフ】 3名,【オブザーバ】 1名

内容

<概要>
これまでに、失禁時の臭い対策として、①まず臭いの漏れを防ぐ、②次いで漏れた臭いの拡散を防ぐ、③さらに拡散を防いだ臭いを除去する、という3段階に整理してきた。今回は、そのうち特に②について、さらに③を合わせ技で開発できるかどうかを検討した。 ②の拡散防止について、ファンや排気パイプの構造がコンパクトにできれば解決できそうであることが分かった。③については今のところ解決できるかどうかは不明であるが、パソコンの大きさの程度の機器は既に存在していることが分かっているので、今後の検討課題である。 ファンの設置位置や覆う布の大きさ、デザインなどについて検討した結果、ファンのサイズをコンパクトにしてアームレストの下に設置する案に関心が集まった。一方で、開発費や製造コスト、価格や販売などのビジネス化していく課題が残されている。

<開発条件の確認>
①ファンの構造
・ コンプレッサでは音が大きくなってしまうので、ファンの方式が良い。
・ ファンは比較的軽いほうが良い。
・ 50mm程度の薄型に作れれば、肘掛けの下に設置することができそうだ。

②ファンの設置位置
・ 車いすのティルト機構の邪魔にならないようにしたい。
・ 排気口は極力下の方にして、人の鼻の位置より下にする。
・ 膝の上にファンを置く方法では、テーブルにもなるように使えると良い。その際は50mm程度の厚みが良い。

③覆う布
・ 腿から膝を覆う布は、少し長めにして全体を隠したい。
・ 走行時に発生する風などではがれないように、足首くらいまで下にたらしておく必要がある。
・ 覆う布と排気パイプのジョイントの方法は、前回のモックアップの方式が良い。
・ 布は常時かけておかないと非常時の役に立たない。ファンを駆動させることで、夏場は股部分の換気になり蒸れ対策につながるメリットがありそうだ。また、ファンはいざという時にスイッチを入れる仕組みにすると良い。

④排気パイプ
・ 直径=35mmもあるような太いパイプでは、掃除機のように見えるので、男性でも恥ずかしい。内径=13mm、外径=16mmくらいの細いパイプが良い。

⑤デザイン
・ 目立たないように設置することが難しければ、どのように見えるかを工夫した方が良い。
・ 排気ダクトは目立たないようにしたいので、極力ダクトの長さを短くしたい。女性にとっては見た目が重要である。

⑥製造販売
・ 開発費を加味した製造コストが10,000円だとすれば、価格は50,000円くらいになる。ユーザーがかけられるコストもこの金額くらいではないだろうか。
・ 年間1,000〜10,000台位を売り上げたいところだが、50,000円の機械を1,000台売るのは難しいのではないか。
・ 時間をかけて、利用した人が少しずつ口コミで広げていくしかない。広告の仕方が問題になってきそうだ。
・ 航空会社や鉄道会社などが導入して、利用客に貸与する方法は考えられないか。
・ 機器の性質上、本体を1度購入すれば買い替えることは少なく、吸着剤などの交換が必要になってくる。リースよりも販売の形のほうが良い。ビジネスモデルとして吸着剤(ランニング)で収益を取る方法も考えられるが、消費者からは敬遠されるだろう。

⑦他の機能との併用
・ 「蒸れ対策にもなる」「テーブルにもなる」というような、他の機能との併用を考えると、購入したいと考える人が増えるのではないだろうか。

案1 ファン本体を車いす後輪上に設置する場合
・ ファン本体はチルトの邪魔にならない位置に設置
・ 排気口は極力下方に設置して、人の鼻の位置より下にしたい ・ 排気パイプが外に見えるので、パイプは細い方が良い

案2 ファン本体を膝の上に設置する場合
・ テーブルとしても使えるなら便利そうだ。
・ 覆う布とファン本体のジョイントは、試作品の「ナラ1号」と同タイプが良い
・ ファン本体の厚みは薄い(50mm程度)が良い

案3 ファン本体をアームレストの下に設置する場合
・ 薄型にできればアームレストの下に設置できるのではないか(50mm程度)
・ 吸引管も膝掛けの中に隠れるので、パイプが目立たない

<まとめ>
・案3のアームレストの下に設置できるような機器について、年度内に試作機を作る。

写真1
写真1  議論の内容.機器の設置方法を考えた.

写真2
写真2  議論の様子.

写真3
写真3  膝上のスペースを有効活用できるか?

写真4
写真4  送風ダクトは実際に見てみると目立った.