平成26年に日本が批准した国連障害者権利条約では、その第四条 一般的義務 第一項の中に、支援機器の開発と利活用の促進が謳われている。支援機器は、障がいのある人々の基本的な権利の享有に、欠かせない存在である。しかし、その開発から利活用に至るプロセスには関与者が多く、また一般製品とは異なる課題が山積しているために、支援機器の実用的な利活用までスムーズに進められない現状がある。
その解決策として、利用者、開発・製造者、供給者、専門職、行政が、それぞれ有する問題意識や知見、情報などを共有し、協働して取り組むこと、すなわち支援機器イノベーションの創出が重要である。国立障害者リハビリテーションセンターでは、それを実現するために、厚生労働科学研究費「支援機器イノベーション創出のための情報基盤構築に関する研究(平成26~28年度)」を実施し、基礎情報、人材育成、当事者からの情報創発に資する基盤構築に取り組んでいる。本シンポジウムでは、これまでの研究成果を報告するとともに、すでに支援機器の利活用と開発の促進に取り組んでいる関連分野からの現状の報告を頂き、情報共有を図るとともに、日本全体として取り組むべき共通の課題を認識する。さらに、その解決における、情報基盤の役割や方向性について議論する。
主催:国立障害者リハビリテーションセンター