視線入力式コミュニケーション装置の研究開発について

 四肢麻痺に加えて、頭部を動かすことも困難な最重度の障害者を対象とした、眼球の動きを利用したコミュニケーション補助装置です。画面に表示した50音などの文字を見つめる障害者の視線を検出し、その文字を選択・表示することで意思の伝達を行う装置です。

 視線の検出方法は、赤外フィルタを用いて赤外光を光源として取り込んだ眼球の画像から瞳孔の中心点と角膜反射点の中心点を抽出して、その二つの特徴点の相対位置から視線を求めるという方法を用いています。CRT画面上に基準点を設けキャリブレーションを行えば、画面上の視点を求めることができます。

 装置は、画面表示用のCRT、アイカメラ、アイモニター、視線検出用のパソコンが必要になります。

視線入力式コミュニケーション装置 使用状況のイメージ

  視線入力式コミュニケーション装置と使用状況のイメージ

 画面に50音や編集用の文字を表示させるとともに、パソコン本体に組み込んだ画像処理ボードにより利用者の見ている文字を検出します。利用者は自分の望みの文字を見つめ続ければ、その文字が確定されて文章を作成できます。

視線入力画面

  視線入力式コミュニケーション装の表示画面(上部が文字盤,下部が簡易エディタ)

 画面上部の50音表の文字を設定した時間見つめると,その文字が画面下部の簡易エディタ画面に入力されます.「変」の文字を選択することで漢字変換も可能です.文字盤右側の編集用の文字を適宜見つめることで様々な編集が可能です.簡易エディタソフトでは作成した文章の印刷,保存(ファイル名の初期設定は日付),読み上げが可能です.文字が見にくい場合には,大きさを変更することもできます.

 平成8年度から本格的な研究開発を開始し、試作装置が開発されました。

視線入力装置の概要

  視線入力装置の構成図

 RS232C経由でキーボードエミュレータへ注視した文字のデータを転送し,さらにUSBケーブルでパソコンに接続すると標準キーボードと同等なキーボード入力を視線により行うことができます。キーボード入力なので利用するアプリケーションは種類を問いません。ワードプロセッサやブラウザ等どんなアプリケーションも利用できます。

視線入力式キーボード代用装置

  視線入力式キーボード代用装置

詳しくは、下記論文に掲載しております。



 本研究に関するお問い合わせは <itoh-kazuyuki-0923@rehab.go.jp>までお願いします。(@を半角@に変えてください)

更新日:11月8日 2000年


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