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リハビリセンタートップページ研究所感覚機能系障害研究部 >吃音について
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吃音の指導(治療)

1.幼児期

 幼児は、身体・認知・言語・情緒など、全ての面で発達途上にあります。「滑らかに話す」という能力においても同様です。そのため「滑らかに話す」能力がよりよく発達するよう、指導の場や家庭での環境づくりが必要になります。整えられた環境の中で、スムーズに話す経験を増やすことが、スムーズに話すための脳内の神経ネットワークを強くすることにつながり、吃音が消失していくことになります。

 具体的な指導は、

  • 環境調整:「滑らかに話す」体験を増加させるような環境の調整
  • 直接的指導:子どもに「滑らかに話す」モデルを示す(発話モデリング)、課題の中で子どもが「滑らかに話す」ように誘導する(発話誘導)

の2本柱で実施されることが多いです。海外での新しい取り組みとしてとしては、リッカム・プログラム(滑らかに話せたときに「なめらかに話せている」ということを子どもに伝える。吃音が生じたときは、子どもの負担にならない頻度でもう一度なめらかに話すことを促す。これらを家庭にて親にも実施してもらう)による治療研究が多く報告されています。

2.学齢期

 小学校中学年くらいになると、なめらかに話せる時期が減ってきます。そのため、楽に話せるテクニックを指導に取り入れます。また、話すことに対して不安を感じたりして消極的になるお子さんもいますので、「滑らかに話す」ことだけではなく、よりよりコミュニケーターとなることを同時に目指す指導を行います。

3.成人

 大人は「うまく話せない」経験をたくさん積んできているので、吃音が生じたときに様々な工夫(二次的行動)を身につけていたり、複雑な感情を抱えていることが多いです。日常生活を送る上では、これらの付随する問題の方が大きく影響することもあります。もちろん、発話の症状も長年の経験で強固なものになっていますので、楽に話せるテクニックを学ぶとともに、二次的な行動を除く取り組み、また恐怖や不安などの感情についても指導で取り上げます。

 古典的には、

  1. 流暢性形成技法(吃音を生じさせず滑らかに話す)
  2. 吃音緩和法(ことばが出ないような苦しい吃音を、軽く繰り返す程度の吃音に変える)
  3. 両方を取り入れた統合的アプローチ

という方法がとられており、それらについて多くの研究がなされています。

 また、

  • 機器(遅延聴覚フィードバック、マスキングノイズ、メトロノーム)を使った訓練方法
  • うつ病などの治療によく用いられる認知行動療法(物事の考え方を変える)

などを吃音の治療に取り入れた報告もなされています。

 近年は多面的(多次元的)アプローチが主流になっており、言語症状の治療だけでなく、心理面や社会面、感情・認知面についても考慮した治療を行うことが主流となりつつあります。

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最終更新日:2012年10月27日
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