国立障害者リハビリテーションセンター研究所 感覚機能系障害研究部
神作憲司 博士(医学) 感覚認知障害研究室 ENGLISH

ご挨拶

私は、千葉大学医学部を卒業後、脳神経外科の山浦晶前教授のもと臨床を経験し、その中から、脳神経疾患に伴い脳機能を失うことが患者さん、ご家族、社会に与える影響の大きさを実感しました。そこで、脳機能を失わせない、もしくは失われた脳機能を回復させるためには、まずは脳を科学的に知ることが必要であると考え、基礎研究を志しました。

研究を始めた当時、磁気共鳴(MR)装置により非侵襲的に人間の脳の機能を解析する機能的磁気共鳴画像法(fMRI)が神経科学の手法として用いられ始め、脳を科学的に知る手段として大変興味を持ちました。1997年から、つくばの産業技術総合研究所(脳神経情報研究部門)にて、当時稀少な3テスラ超高磁場MRI装置を用いて実験を行う機会があり、fMRIの信号特性や解析手法に関する研究を発表しました。産業技術総合研究所では、河野憲二部門長(京都大学前教授)、北澤茂主任研究員(現・大阪大学教授)のもとで、非侵襲脳機能計測法を用いたシステム脳神経科学研究を行い、この中から、後部言語野の側性化の程度に男女差があることを始めて画像化するなどの成果を挙げることができました。2001年には米国国立衛生研究所(NIH)、神経疾患卒中研究所(NINDS)のMark HallettラボにVisiting Associateとして、2004年には自然科学研究機構、生理学研究所へ助手(定藤規弘教授)として合流し、継続してfMRIや経頭蓋磁気刺激(TMS)といった神経画像を用いたシステム脳神経科学研究を行いました。この間、主に、人間の抽象概念操作に関わる脳内情報処理を明らかとする研究に従事しました。

2006年6月より、国立障害者リハビリテーションセンター研究所、感覚機能系障害研究部、感覚認知障害研究室(1998年に開設。1999年4月〜2006年3月:西谷信之元室長)の感覚認知障害研究室長として着任しました。これまでの研究を発展させると共に、脳波(EEG)を利用して生活環境の制御、コミュニケーションや運動の補助を可能とするブレイン−マシン・インターフェイス(BMI)技術の研究開発を行い、実用化に向けた新技術の開発に成功しました。そして、2010年に脳機能系障害研究部、脳神経科学研究室が開設されたのに伴い、10月より脳神経科学研究室長として着任いたしました。

脳神経科学研究室は、脳神経疾患に伴い脳機能を失うことが患者さん、ご家族、社会に与える影響を、科学的に低減させることを目標とします。この目標のために、未だ未解明の部分が多い脳機能をシステム脳神経科学の視点から理解し、その知見をもとに、新たな脳機能の客観的評価手段、および新たなリハビリテーション法を確立することを目指したいと考えています。さらに、脳情報を活用した新たなBMI技術の研究開発に取り組み、障害者の活動領域の拡張を目指します。基礎医学(システム脳神経科学、生理学)、臨床医学(リハビリテーション医学、脳神経外科学、神経内科学、精神医学等)、工学、さらには社会科学などの間で、横断的研究を展開しつつ、一歩ずつ目標に向かい進んで行きたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

脳機能系障害研究部 脳神経科学研究室

室長 神作憲司

[電気通信大学BLSC・客員教授]