高次脳機能障害者の社会的行動障害による社会参加困難への対応に関する研究
研究代表者 深津玲子
研究の目的
社会保障審議会障害者部会において、現行の障害支援区分認定調査だけでは、高次脳機能障害の支援困難度が反映されにくく、サービス利用基準に満たないことがある、との指摘があった。また日常生活上の支援に困難のある高次脳機能障害者であっても、重度障害者支援加算の要件を満たせない実態もある。そこで、高次脳機能障害の支援困難度が適正に評価されているかを検証し、特に支援上の困難となる社会的行動障害の支援困難度評価指標案を提案することを目的とする。
研究でわかったこと
現行の障害支援区分認定調査の行動障害関連項目に評価項目と評価軸を追加した評価表を高次脳機能障害者104名に対して試用した結果、同評価表の信頼性と妥当性が確認された。現行の障害支援区分との関係については、現行の評価軸である「必要な支援の頻度」とは弱い相関(p<0.05)があったものの、追加評価軸「重症度」「介護負担度」「介入による変化」とは相関が無く、重度あるいは介護負担度が高くとも障害支援区分が軽いケースが存在することが示唆され、指摘が裏付けられた。高次脳機能障害で該当する上位12項目を「介入による変化」で評価する「高次脳機能障害の支援困難度評価指標案」を作成した。
結論
本研究で作成した指標案は、現行の重度障害者加算の要件を満たせず、共同生活援助等のサービスを利用できない高次脳機能障害者の支援困難度を適切に評価する指標として活用が可能と考える。