個別支援プログラム 目的 視覚に障害をもつ利用者が、国家試験に合格し、自立と社会経済活動への参加ができるよう、早期から最適化された個別支援を提供して、学習上のつまずきを防止する。 STEP1 Plan 利用選考結果(1年)や前回までのモニタリングから障害や特性によって考えられる学習上の躓き防止を中心とした計画の作成 利用者の障害や特性の情報共有 障害に応じた座席配置や補助具の準備・貸し出し ↓ STEP2 Do 障害に応じた学習方法の習得や学習環境の整備 障害に配慮した授業展開 初期学習支援(1年) 基礎学力講座(1年) 障害に応じた資料提供や教授法の実施 ↓ STEP3 Check 定期試験や職員と利用者との面談により現状の課題やニーズの把握と対策 学習相談会 授業アンケート 定期試験 クラス担当・科目担当と利用者の面談 学級連絡会や成績会議等における課題の情報共有と対応方法の検討 ↓ STEP4 Action 評価によって教授法や配慮の修正された授業展開及び追加の支援 課題への対策を反映した授業展開 補習の実施 特別指導 長期休業期間の支援 ↓ 年4回の定期試験ごとにSTEP1→4を繰り返し最適化していきます 個別支援プログラムの概要 STEP1 Plan 利用者の障害や特性の情報共有。視力や視野の状況、視覚障害以外の障害などの情報から授業における配慮事項などを情報共有します。 障害に応じた座席配置や補助具の準備・貸し出し。視覚障害や聴覚障害に応じて教室の座席に配慮します。また、視覚補助機器の貸し出しとして拡大読書器、デイジー機器、聴覚障害をもつ利用者にはFM補聴システムの貸し出しを行います。 STEP2 Do 初期学習支援(1年)。1年生は利用開始後すぐに学習環境を構築するために障害に応じた学習機器(PC、デイジー機器、拡大読書器等)の操作といった基本的な技術を学びます。 基礎学力講座(1年)。専門知識の習得が困難な利用者(1年生)に対し、一般用語や頻繁に使用される専門用語についての解説を行う講座を開きます。 障害に応じた資料提供や教授法の実施。視力障害に応じて、資料の提供は紙、点字、データといった媒体を用意します。また、紙については文字の大きさ、白黒反転といった対応もします。教授法についても視力に配慮して、漢字の説明や「ここ」「あれ」といった言葉を用いないよう指導をします。 STEP3 Check 学習相談会。各科目担当教官と学習方法等の困りごとについての相談の場を設けます。 授業アンケート。各科目の授業について意欲や集中、教官への要望などについてアンケートを行います。 定期試験。定期的に形成的評価を行い、知識・技術の習得状況の確認しています。また総括的評価により進級・卒業に必要な単位習得条件の水準に到達しているかを評価します。 クラス担当・科目担当と利用者の面談。定期的に職員と利用者で面談を行い学習で困っていること、健康状態、進路等について面談を行います。 学級連絡会や成績会議等における課題の情報共有と対応方法の検討。定期試験結果や職員と利用者との面談結果、普段の授業の様子など学習上の課題やニーズについて情報を共有し課題克服に向けた対応策について検討します。 STEP4 Action 課題への対策を反映した授業展開。会議で検討された対応策を反映した授業展開を行います。 補習の実施。授業だけでは不十分な部分については放課後に補習を実施し支援します。 特別指導。個々の課題や困難な状況についてクラス担当、科目担当と協力して特別指導教官が解決に向けてサポートします。 長期休業期間中の支援。授業のない長期休業期間を活用して不得意科目の克服とともに、知識のスキルアップを図ります。 個別支援プログラムの活用例 対象;A氏 性別;男性 年代;40歳代 視力;ロービジョン、明るさに過敏 合併症;糖尿病(月・水・金の週に3回、4時間の透析治療) 学習方法;知識をまとめた手書きノートと参考書による学習 STEP1 明るさに過敏であったため、座席は教室のやや暗めな廊下側に配置 拡大読書器の貸し出しにより、文字の拡大と白黒反転を可能とし、教科書・資料の読みやすさを改善 ↓ STEP2 初期学習支援により拡大読書器の基本的操作を習得 利用選考と初期学習支援の結果により、読解力に困難がみられたため基礎学力講座を実施 ↓ STEP3 学習相談会や職員との面談において、透析のために授業以外の十分な学習時間が確保できていないことが判明 試験においては、試験範囲の広い科目の成績が低い傾向にあることが判明 透析の時間を活用できる資料、課題の提供方法、学習ツールの新たな習得及び長期休業期間中の支援を活用した学習の遅れに対する支援 ↓ STEP4 透析の時間に音声で学習できるよう、デイジー機器の貸し出し及び音声による練習問題と解説を提供 長期休業期間を活用して、試験で理解の不足していた部分の補習及び利用者からのニーズに応じた単元の自己学習支援 特別指導教官によるスマートフォンを活用した学習アプリの紹介、拡大鏡など便利機能の操作方法指導及び通信環境の整備 ↓ 効率的な学習方法獲得により、不得意科目の成績向上に加えて全体的な学力向上へとつながった