理療を学ぶ学習者ケース事例 国家試験に合格する人はこのような方です あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家資格は3年間のカリキュラムを経て国家試験に合格した者に授与されます。  3年生の5月上旬に行われる1・2年次の履修科目から出題される第1回模擬試験において、正解率が55%以上に到達している人の国家試験合格率は過去5年間100%です。  この水準に到達している人は、早期から国家試験合格に向けて取り組んでいることが当センターが実施している学習実態調査や進路希望調査から推察されます。 早期から受験に取り組むための3つの要因 国家試験合格者は、1年次からあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家資格取得後の就労イメージを具体的に持っている方が多いです。また、その目標に向けて学習習慣、学習手段を早期に確立しています。 就労にむけた具体的なイメージ あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家資格取得までには3年間という長い期間が必要です。その目標に向かっていくための原動力として就労に向けた具体的なイメージ、意欲が必要です。  卒業後の進路として主に開業・就職・進学の3つがあります。就職といっても企業の社員を対象に施術するヘルスキーパー、病院、治療院、高齢者施設など様々な事業所があります。また、施術内容も就労先によって異なります。「こんなふうに働きたい」と進路希望が具体的な人ほど国家資格取得にむけて意欲的に学習に取り組んでいます。逆にとりあえず国家資格取得をめざして進路は未定という人は不合格になる傾向にあります。 学習手段 学習手段には墨字・点字の教科書、参考書、音声によるデイジー機器、PCやタブレット・スマートフォンといったICT機器など様々な学習手段があります。  国家試験に合格している人は、自身の視覚障害や自身の学習の進めやすい方法に合わせて、様々な学習手段を用いて取り組んでいます。この学習手段の確立は就労移行支援を利用する前に自立訓練で学ぶことが出来ます。中途障害により久しぶりに学習を行う人、視覚障害になってまだ間もない人に対しては、自立訓練で学習手段を確立してから就労移行支援(理療教育)の利用を推奨しています。 学習習慣 3年間のカリキュラムにおいて1年次は基礎科目を、2年次は基礎と応用科目を、3年次は1・2年次の科目の知識を総合した臨床の科目になります。(下図)  冒頭でも記載したとおり第1回模擬試験成績と国家試験合否の関係から、この1・2年次の科目の知識定着が重要な鍵となることがわかります。そのため国家試験合格者は1・2年次の早期から普段の学習に加え土日などの休日も学習時間を確保して取り組んでいる傾向にあります。