| 〔学院情報〕 |
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平成14年度身体障害者福祉関係職員 実務研修会実施報告(最終) |
| 学院事務室 |
当センター学院が、年度末の1月から3月にかけて開催した研修会は、補聴器適合
判定医師研修会(第2回)(1月20日(月)から1月24日(金)までの5日間)と義肢装具
等適合判定医師研修会(第53回)(3月10日(月)から3月14日(金)までの5日間)です。
1月開催の補聴器適合判定医師研修会(第2回)は、86名の受講生に対して、講義と
実習の組み合わせによる研修を実施しました。当該研修会の担当責任者である病院
第二機能回復部の田内部長が、別紙のとおりその概要をとりまとめましたのでご紹介
いたします。
次に、3月開催の義肢装具等適合判定医師研修会(第53回)の概要は次のとおりです。
この研修会は、115名の受講生に対し、補聴器適合判定医師研修会と同様に、講義と
実習の組み合わせによる研修を実施しました。
講義の他に実施した「下肢装具」、「上肢切断・義手」、「下肢切断・義足」及び
「車椅子」のモデルの協力によるデモンストレーションにおいては、受講生がモデルさん
に対して、装具のチェックや異なるタイプの装具装着時の比較を尋ねたりするなど、
「車いす適合診断」や、学院義肢装具学科の教官と研究所補装具製作部の義肢装具士
が行う「装具製作の実演」の場面でも、受講生の積極的な取り組みが見られました。
なお、これら研修会の日程表は、別表1、別表2
のとおりです。
これで、平成14年度身体障害者福祉関係職員実務研修会は、別表3のとおり、
15種類、延べ19回の研修を実施し、受講者総数は844名にのぼり、受講生からのアン
ケートでも貴重なご意見をいただくなどして、概ね好評裡に終了することができました。
最後に、この紙面をお借りしまして、本センター学院の研修事業運営のために、
ご支援、ご協力頂きました関係機関等の方々や、お忙しい中でのご講義いただきました
外部、内部講師の方々並びに、個々の研修会の担当責任者を務めていただいた
職員の方々に対して、深く御礼申し上げます。
| 平成14年度補聴器適合判定医師研修会(第2回)について |
| 病院 第二機能回復訓練部部長 田内 光 |
平成14年度の第2回目の補聴器適合判定医師研修会が平成15年1月20日(月)
から24日(金)まで開催されました。昭和58年に第1回目が開かれてから今回は26
回目にあたりますが、これまでに1364名という多数の耳鼻咽喉科医が受講しており、
これは日本の耳鼻咽喉科医の1割強にあたります。また平成12年度から健康保険法
が改正され、「補聴器適合検査」の保険診療を行うための施設認定を受けるには、
本研修会の受講終了医師が常勤していることが一つの条件とされました。そのため
受講希望人数が大幅に増加し、以後は年2回の研修会を開くようになりました。
今年度も第1回が7月に開かれ76名の耳鼻咽喉科医が受講しましたが、今回は
それを上回る86名が受講しました。北は北海道から南は沖縄という遠方からも参加者
があり、経験数年の少ない若手医師から大学教授のベテラン医師までが5日間という
長い期間を熱心に研修されました。
カリキュラムは身体障害者福祉法、補聴器の基本的な構造と物理学的な特性、
補聴器の適合(フィッティング)の基本と応用、装用後の聴覚管理など基礎から応用
まで、実習を交えて興味深く研修出来るように配慮されています。本研修会の一番の
特徴はその半分近くを実習時間として取っていることです。耳鼻咽喉科の医師にとって
聴覚障害の病態生理や診断・治療についてはお手のものですが、聴覚障害のリハビリ
に重要な補聴器に関してはほとんど知識のない医師が多いのが現状です。そのため
実習では専門家である言語聴覚士の方に講師をお願いし、補聴器の基本特性の
測定方法から難聴患者さんに補聴器を適合するところまでを実際に体験していただき、
理解してもらうようにしています。また貸し出し用補聴器を準備し、研修会期間中は
受講生全員にそれを貸し出して補聴器の特徴や聞こえ具合を実体験してもらうように
しています。そして講義と実習の組み合わせも考え、バランスを取ることにより飽きる
ことのないカリキュラムになるよう工夫がなされています。そのため実習は好評であり、
この研修会の根幹をなすものとなっています。
今後の高齢化社会を考えると補聴器へのニーズはますます高まっていきます。
しかし、一方では営利目的の補聴器販売店により役に立たない高価な補聴器を
買わされて、補聴器に対する不信感をもつ老人も多くみられます。その適正な橋渡
しとなるべき補聴器専門医のためにも、一助となるこの研修会をさらに実りあるものに
出来ればと考えています。
最後に、本研修会の開講式で、当センターの佐藤コ太郎総長からご挨拶を頂きま
したので、その内容についてご紹介します。
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平成14年度補聴器適合判定医師研修会(第2回)開講式での 佐藤総長のご挨拶内容 |
今日は北海道から沖縄まで全国各地域から、この研修会にご参加いただき
まして、ありがとうございます。主催者を代表してご挨拶を申し上げます。
当センターの学院では、ST等の養成とともに、今回のような研修会を年に
十数回行っております。又、センターは学院のほか、病院、研究所、更生訓練所、
管理部の五つの部署から成っております。その中の一つ、更生訓練所では、
約300名の視覚障害、肢体不自由、聴覚障害などのある若い入所生が、
一年ないし二年の職業訓練に励んでおられます。その中に、聴覚障害者も
40〜50名おられます。
入所者の宿舎では、災害時には振動で災害を伝えるベッドや、字幕で情報を
提供するという施設を用意しております。いろいろな機器が利用できる状況には
なってきており、日々の生活又は緊急時の情報提供という意味では、いろいろな
進歩があります。しかしこのような問題に対する対応もさることながら、概念形成
という意味で申しますと、聴覚からの入力が大事であり、幼少からのインプットが
十分でない場合の対応が問題点になるということを経験しております。
そのようなことから、皆様が今から研修されてサービスに当たられる補聴器は、
非常に大切なものであります。当センターの入所生の殆どが補聴器を使いながら
日常生活を送っております。
又、当センターの病院の耳鼻咽喉科では、人工内耳の移植なども行っております。
今情報として入っているところでは、この領域でもバイオテクノロジーの進歩が
目覚ましく、内耳にニューロトロピックファクターを注入することによって聴覚細胞
の活性が維持されうる、あるいは、神経幹細胞を移植するといった話も出てきて
いますが、それでも聴覚障害者への補聴器の重要性は、ずっと存続するもので
あると思います。
是非この研修会を受講いただく皆様には、現場において聴覚障害者のために、
今後より高いレベルでの援助をしていただければと思います。
一週間の長丁場であり、天候も寒い時もありますが、有意義な研修会になる
ことを祈念いたしまして、ご挨拶に代えたいと思います。
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| 月日 | 午前 | 午後 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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1月 20日 (月) |
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| 21日 (火) |
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| 22日 (水) |
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| 23日 (木) |
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| 24日 (金) |
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| 月日 | 午前 | 午後 | |||||||||||||||
| 3月 10日 (月) |
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| 11日 (火) |
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| 12日 (水) |
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| 13日 (木) |
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| 14日 (金) |
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| 研修会の名称 | 14年度 | 目 的 | |||
| 期 間 | 定 員 | 受講者数 | |||
| リハビリテーション 心理職研修会(基礎) |
自 | 14.5.13 | 20 | 41 | 身体障害者の心理専門職業務に従事し、リハビリテーション領域の経験の浅い職員に対し、基礎的知識及び技術の習得をさせる。 |
| 至 | 14.5.17 | ||||
| リハビリテーション 心理職研修会(応用) |
自 | 14.9.2 | 20 | 24 | 身体障害者の心理判定業務に従事する職員に対し、実務に必要な専門知識及び技術を習得させる。 |
| 至 | 14.9.6 | ||||
| 盲ろう者通訳ガイドヘルパー 指導者研修会(前期) |
自 | 14.6.3 | 20 | 18 | 盲ろう者の自立と社会参加を図るために、盲ろう者の通訳、ガイドヘルパーの育成に指導的役割を担う人材の養成を図る。 |
| 至 | 14.6.7 | ||||
| 盲ろう者通訳ガイドヘルパー 指導者研修会(後期) |
自 | 14.10.28 | |||
| 至 | 14.11.1 | ||||
| 視覚障害生活支援研修会 (旧:視覚障害歩行訓練研修会) |
自 | 14.6.10 | 20 | 23 | 視覚障害者の歩行訓練及び生活訓練に従事している者に、必要な知識と技術を習得させる。 |
| 至 | 14.6.14 | ||||
| 身体障害者更生相談所 身体障害者福祉司等実務研修会 |
自 | 14.6.24 | 60 | 39 | 身体障害者更生相談所に勤務する身体障害者福祉司等に対して職務上必要な技術と知識の習得、訓練を行い職務能力の向上を図る。 |
| 至 | 14.6.28 | ||||
| 補聴器適合判定 医師研修会(第1回) |
自 | 14.7.1 | 70 | 76 | 補聴器適合判定業務に従事している医師に対し、補聴器適合判定に必要な基礎的知識と技術の向上を図るとともに医学的リハビリテーションを推進する。 |
| 至 | 14.7.5 | ||||
| 補聴器適合判定 医師研修会(第2回) |
自 | 15.1.20 | 70 | 84 | |
| 至 | 15.1.24 | ||||
| 音声言語機能等 判定医師研修会 |
自 | 14.9.9 | 30 | 18 | 音声・言語(そしゃく)機能障害の判定業務に従事している医師に対し、判定に必要な基礎的知識と技術の向上を図るとともに医学的リハビリテーションを推進する。 |
| 至 | 14.9.13 | ||||
| 靴型装具専門 職員研修会(基礎) |
自 | 14.9.17 | 15 | 6 | 義肢装具士に対する靴型装具製作技術の訓練のため、必要な専門知識と技術を習得させる。 |
| 至 | 14.9.20 | ||||
| 手話通訳士専門研修会 | 自 | 14.9.30 | 20 | 9 | 手話通訳業務に従事している手話通訳士に対し、より高度な通訳技術が要求される通訳場面に対応できる専門的知識と技術の習得に関する現任訓練を行う。 |
| 至 | 14.10.4 | ||||
| リハビリテーション 看護研修会 |
自 | 14.10.8 | 50 | 68 | リハビリテーション看護に必要な基礎知識と技術を習得させ、その資質の向上を図るとともに、障害者の看護の充実に質する。 |
| 至 | 14.10.11 | ||||
| 作業療法士研修会 | 自 | 14.10.23 | 20 | 20 | 身体障害者のリハビリテーションに従事する作業療法士に対して、実務に必要な専門的知識及び技術を習得させ、その資質の向上を図る。 |
| 至 | 14.10.25 | ||||
| 理学療法士研修会 | 自 | 14.11.14 | 20 | 24 | 身体障害者のリハビリテーションに従事する理学療法士に対して、実務に必要な専門的知識及び技術を習得させ、その資質の向上を図る。 |
| 至 | 14.11.15 | ||||
| 言語聴覚士研修会 (旧:聴能言語専門職員研修会) |
自 | 14.11.20 | 30 | 75 | 聴覚障害、音声機能障害及び言語機能障害のリハビリテーションに従事する言語聴覚士に対して、実務に必要な専門的知識及び技術を習得させ、その資質の向上を図る。 |
| 至 | 14.11.22 | ||||
| 義肢装具等適合判定 医師研修会(第52回) |
自 | 14.12.2 | 100 | 129 | 義肢装具の適合判定業務に従事している医師に対し、義肢装具等適合判定に必要な基礎的知識と技術の向上を図るとともに医学的リハビリテーションを推進する。 |
| 至 | 14.12.6 | ||||
| 義肢装具等適合判定 医師研修会(第53回) |
自 | 15.3.10 | 100 | 115 | |
| 至 | 15.3.14 | ||||
| 視覚障害者用補装具 適合判定医師研修会 |
自 | 14.12.9 | 20 | 21 | 視覚障害者用補装具適合判定に従事している医師に対し、適合判定に必要な基礎的知識と技術の向上を図るとともに医学的リハビリテーションを推進する。 |
| 至 | 14.12.13 | ||||
| 福祉機器専門職員研修会 | 自 | 14.12.16 | 50 | 54 | 福祉機器に関する専門職員に、福祉機器の使用についての指導等に必用な専門的知識及び技術を習得させる。 |
| 至 | 14.12.18 | ||||
| 計19回 | 735 | 844 | |||