〔研究所情報〕 |
遠くを見つめつつ国リハでの3年間を振り返ってみました |
研究所 感覚機能系障害研究部 流動研究員 武田湖太郎 |
平成17年3月をもって国立身体障害者リハビリテーションセンター(以下、国リハ)での研究員生活を終える身となり,
研究内容と雑感を国リハニュースに投稿するチャンスをいただきましたので,
簡単に研究内容の紹介と想い出を書かせていただきます。反省だらけの予感、悪寒。
私がうっかり研究所の試験に合格し、国リハ研究所で研究員になれたのが平成14年4月のことです。
耳鳴の治療法として用いられているレーザー照射治療の効果を検証するため、
聴覚末梢細胞へレーザーを照射するとどのような影響があるのか、その効果・安全域などを検証するべく、
ネズミの聴覚末梢細胞を用いた検証が主な研究テーマとなりました。まずは実験系を確立する必要があり、
取り出した聴覚末梢神経を育てる因子は何か?という仕事に取り掛かりました。
結局、BDNF・NT-3という成長因子が強く関与していることを定量的に評価することができ、
その過程で細胞の神経突起を定量解析するプログラムも試作してみました。また、近赤外脳オキシメータ(光トポ)
による脳機能計測データの解析にも携わり、新しい解析法として独立成分分析という数学の手法を用いる事を提案することが
できました。この手法はまだすべてのデータに対して有効というわけではないですが、
上手くすれば実用化も可能かもしれません。さて、3年という時間は長いようで異常・無常に早く、
やりたいことを全部はできませんでしたが、充実した設備、多分野の研究者が集まるこのセンターで博士課程の
学生のうちから研究することができたことは本当に幸せなことで、感謝しております。ありがとうございました。
想い出1:研究開始当初は動物飼育施設など無く、実験室でネズミと共に暮らす研究生活でした。
私は修士の頃から動物実験に慣れていたので臭いなどは気になりませんでしたが、
動物実験に関与しない同僚も同じ部屋を使用していただけに、申し訳ない気持ちでいっぱいでした
(そんな彼らも2か月程で臭いに耐性ができたみたいですが)。
想い出2:私と国リハ、というより研究所感覚部 森浩一室長との出会いは聴覚研究会でした。
そこでとてつもなく豊富な知識をもって質問者に厳しい質問をされる森先生を見かけたのは私が修士1年生の頃でした。
当時「なんて恐ろしい先生なのだ・・・でもすごい聴覚生理に詳しそう」と思いつつもお名前を伺う勇気もなく、
「聴覚系で生きていたらそのうちまたお会いする機会もあるだろう」と思っておりました。出会いはその1年後、
修士2年生のクリスマスでした。同研究会のメーリングリストで国リハの研究員募集を知り、
見学・プレゼンで国リハを訪れた時です。感覚部室長の部屋をノックし、入った瞬間、そこにあの『恐ろしい』先生が!!
“やっちまった感”と“すでに後に引けなくなった感”でプチパニックに陥っていたためその日の事は覚えていません。
サンタさんはもう信じません。
追記:2年前から、研究所感覚部 中島八十一部長と佐藤裕流動研究員の3人でこっそり園芸部を立ち上げました。
第2研究棟入り口のプランタで育っていた綿は私達の仕業です。
どなたかプランタと土を引き取ってくれる方はいらっしゃいませんでしょうか?