〔病院情報〕
患者サービス向上委員会活動紹介
患者サービス向上委員会



はじめに−委員会設置の背景−
 現代の医療において求められているのは、効果を前提とした質の高い医療と、患者様が満足できるサービスです。すでに、厚生労働省でも、医療は基本的にサービス業務であると明言しています。また、現在行われている、医療費削減を目指した厳しい医療制度改革において、医療機関が生き残るためには、医療の質と充実したサービスの確保が不可欠と言われています。当センター病院も例外ではありません。患者様にとって良質で快適な医療を提供できなければ存続することは困難です。
委員会設置の目的
 このような背景のもと、本委員会は、平成15年7月に「患者及び職員からのサービス改善のための意見、苦情を収集し、また職員に対する接遇に関する教育・研修を実施することにより、サービスの向上を推進すること」を目的として当センター病院に設置されました。
活動の経過とその概要
 平成15年4月、病院長により「接遇に関する委員会(仮称)」の準備会会議が開催され、委員長が選任されました。その後、委員会の任務、構成、規定等が検討され、同年7月には、第1回患者サービス向上委員会を開催。同委員会に3つの小委員会(苦情の収集委員会、教育研修委員会、マニュアル作成委員会)を置き活動を開始いたしました。
 また、従前より病院玄関フロアーに設置されていたご意見箱を「皆様の声」として更新し、医事管理課事務室内には職員代筆による意見の投書箱「患者様の声」をそれぞれ設置いたしました。
 これらの「声」がより早く病院長に届くような方法を検討いたしました。
 平成16年10〜12月には「医療現場における新しいコミュニケーション技術−コーチングサポートの実際−」というテーマで職員向け教育研修会を開催し、全3回で延べ240名の職員の参加がありました。研修後の参加者のアンケート(配布数286回収数175、回収率61.2%)による評価では、「非常に有益」「有益」を合わせて約90%と、委員の予想を越える好評をいただきました。
 平成17年2月には、職員に対する啓発を目的に、社会人として身につけておかなければならない基礎的な内容をまとめた「接遇マニュアル」を作成し、病院職員を中心に配布いたしました。さらに、同年11月からは、皆様からお寄せいただきました「声」と、それに対する病院としての「回答」を、病院本館玄関フロアーに掲示しております。
寄せられた「声」
 「皆様/患者様の声」の3年間の集計結果は、平成15年(15.7.22〜15.12.31)35件、16年(16.1.1 〜12.31)104件、17年(17.1.1〜12.31)78件、総件数217件でした。
 昨年(17年)の集計結果を見ますと、病院のサービス内容への不満が背景にあるものと解釈されるものは「抗議・苦情・不満」が27件(34.6%)、「要望・希望」が32件(41.0%)、「意見・提言」6件(7.7%)、計65件(83.3%)でした。(表1)
 内容分類別では「施設・設備」33件(50.0%)と「声」全体の半数を占め、次いで職員の「態度・接遇」に関するものが13件(19.7%)、「運営上のこと」12件(18.2%)でした。(表2)
 「施設・設備」に関するご要望の内「時計の時間があっていない」「院内の表示がわかりにくい」等の容易に工夫や改善が見込まれるものにつきましては、その日の内に確認し対応することを心がけました。また、「トイレに背もたれを付けて欲しい」「洗濯機を更新して欲しい」という会計上の課題が発生するようなご要望等につきましては、予算化が図られ、改修・新設が行われたものもあります。また、病院連絡会等の場を通じて病院全職員に周知を図ることや、職員研修会の開催や接遇マニュアルの作成・配布によって職員意識の向上に努めました。さらに、御指摘をいただいた職員が特定できる場合には、病院長や該当部署責任者を通じて本人へフィードバックし注意指導、あるいはスーパーバイズによる行動改善といった対策が実施されました。


(写真)声の掲示板
声の掲示板            病院玄関前
(写真)皆様の声(ご意見箱)
皆様の声(ご意見箱)         病院玄関

 声の分類表(表1)

表1 分類(平成17年)


 内容別分類表(表2)

表2 内容分類(平成17年)

今後の方向性
 お寄せいただきました「声」をもとに、少しでも多くの患者様のご要望にお応え出来るよう、日々奮闘していますが、平成18年度は次の事柄を中心に取り組んでいくことを予定しています。現在の投函方式による声の収集から一歩進め、より広範なご意見を収集する目的で「満足度調査」の実施を検討しています。また、今年度も職員向け研修会を企画し、現在調整中です。さらに、平成17年2月に作成した「接遇マニュアル」に関する職員アンケート調査を行い、これを参考にしつつ応用編マニュアルの発行を企画しています。
 患者サービス向上は、病院にとって重要な意味を持っていますが、これを実現するには、必要とされた対策が、部門間の壁や職位の上下を越えて、迅速に実行されなければならない場面が生じることが知られています。また、業務量は膨大になります。その意味で、将来的には、委員会内に必要な権限を委嘱された専従職員が配置されることが望まれています。

おわりに
 現在の患者サービス向上委員会は、最良の方法論を持っているわけではありません。今後も、患者様お一人お一人の「声」を貴重な「宝」として受け止め、多くの皆様から「選んでいただける病院」となれるよう、より適切な方法を模索していきます。お気軽に職員あるいは投書箱「皆様の声」へ、ご意見、ご要望等お寄せください。皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。