地域におけるアクションリサーチ
全国・伊豆市・土肥圏域 高齢化率の推移
世帯割合(伊豆市、全国)2015年国勢調査
認知機能低下(疑い)高齢者群は、
健常高齢者群と比べ、近所の人との会話頻度が少ない
健常高齢者群と比べ、近所の人との会話頻度が少ない
近所の人との会話頻度
(在宅高齢者へのアンケート調査 国リハ研2016年)
- 社会関係の希薄化/縮小化を示唆。
- 社会的孤立状態は、認知機能ならびに健康状態へのリスクが高い。
- ↓
- 認知機能低下高齢者の社会的ネットワークの保持・自立生活維持が課題。
伊豆市役所の対策・見解
認知症高齢者への支援体制を整えてきた。
他方、公的機関で対応できることに限界がある。
認知機能低下高齢者への対策として、啓発・普及を市役所、地域拠点づくり・運営を市民が実施。市役所の個別対応は困難。
声掛けがあれば生活への不安が少なく自立できる高齢者、高齢世帯は結構ある。
ロボットへ期待。
地域包括支援センターの特徴、ステークホルダーとしての役割(中伊豆圏域、土肥圏域等)
過疎高齢化に伴う課題を抱えつつ、地域包括ケアに取り組む。
予防事業、要支援高齢者および家族への対応、各圏域特性に応じた新しいコミュニティづくり等。
活用できる地域資源のひとつとして声掛けロボットをとらえ、紹介・導入への連携を担う。
医療・福祉セクターによる導入モデル
研究依頼 → 各専門職からユーザー選出 → 試用 → 導入
※想定ユーザーの多くは、医療福祉サービス未利用者で、医療福祉セクターの対象外
土肥圏域の特徴
- 高い高齢化率と人口減少( 47.7% 、3797人(2017年) )、遠隔介護、買物・医療アクセス困難等
- 低い介護保険認定率
(元気高齢者が多い。土肥:12%台、全国:17.9%(2015年)) - 手厚いインフォーマルネットワーク(社会的紐帯を通した見守り・ボランティア)
- 高齢者同士が支えあう新しいコミュニティづくりに取り組む
1.は、近い将来、多くの地方自治体で生じる状況
土肥圏域内 小池地区の特徴
- 住民によるコミュニティづくり先進地区
老人クラブ、サロンに加え、居場所作りに挑戦 - 独居高齢者が多い
- 買物・病院へのアクセス困難(それぞれ車10分・1時間)
高齢化率(2015年国勢調査:土肥八木沢)
例)小池地区での活動
集団利用による潜在的顧客特定の促進、ステークホルダーの発掘
小池サロン訪問(延べ9回)
共同体セクターによる導入モデル
住民会議
(サロン等に参加しにくい方とのつながりに、ロボットシステムを活用する)→ 集団利用・地区支援者の試用および入力体験 → ユーザー選出 → 試用準備
実施内容
ターゲットユーザーの絞り込み、実験プロトコルの決定、実験の遂行ならびに課題抽出
介護保険利用前の認知機能低下者(高齢者)への導入モデル
ステークホルダー への 研究班のアプローチ |
ステークホルダー | 利用 候補者 選出数 |
候補者への アプローチ |
ロボット 導入数 |
|
医療福祉 セクター モデル |
事業所訪問での説明 イベント展示 ステージⅠ・Ⅱ研究 活動での実演 |
訪問看護師 居宅介護ケアマネ 地域包括職員 |
8 | 各職員が紹介し、導入促しを行う | 3 |
共同体 セクター モデル |
民生会議等での デモ・説明 住民会議での デモ・説明 サロン・老人会での 集団利用 |
老人クラブ主催者 サロン主催者 近隣住民 |
7 | 各人が紹介 | 0 |
- ターゲットユーザーの絞り込み:
介護保険利用前の独居高齢者・高齢世帯
例:A地区 ①80代女性 サロンの日は、帰宅後寂しくなる
②80代男性 一人でいると食事も美味しくない - 検証内容の確定:
社会的ネットワークの質的・量的効果(心理的状態、社会関係等) - 課題:
共同体セクターの導入支援ステークホルダーの発掘、導入スキルの充足 - 解決方法:
新たな住民会議、富山大学歩行圏コミュニティ研究会との情報交換
得られた成果
両セクターともユーザー候補者が選出された。地域特性に即したターゲットユーザーの絞り込み、実験プロトコルの決定ができた。しかし共同体セクターでのロボット導入が実現せず、課題が残った。共同体セクターでの導入に必要なステークホルダーの発掘、スキル向上を進める。