概要
本研究課題では、障害者がそれぞれの心身機能や生活環境に合わせて災害時の備えを考えるための支援手法を開発してきました。障害者が避難生活で健康状態を維持するためには、自身の心身機能不全を適切に補う手段を確保することが重要です。インフラの途絶などで継続して使えなくなるモノやサービスがあれば、その代替となるものをあらかじめ用意しておきます。しかし、必要な支援とその代替手段は人によって様々です。障害者が使う福祉機器がそれぞれの身体の状態に応じて調整されているように、災害時の備えも個別の状況に合わせて最適化される必要があります。
東日本大震災以降、このような個別の備えの重要性は広く認識され、様々な取り組みが報告されています。一方で、備えを考えつくす作業には手間と時間がかかり、何から手を付けていいかわからないという声も聞かれます。そこで本ページではこれまでに得られた成果のうち、広く一般の方々に利用して頂けるものを公開します。障害当事者やその支援者の皆様が、災害時の備えを確実なものとする一助となれば幸いです。
メンバー
- 研究代表者:
- 硯川 潤(国立障害者リハビリテーションセンター研究所)
- 研究開発分担者:
- 高木 憲司(和洋女子大学)
古山 周太郎(早稲田大学)
高橋 競(東京科学大学)
成果

障害者防災ハンドブック
災害時の生活と健康を守るための12のヒント
災害時の生活と健康を守るための12のヒントをまとめたハンドブックを作成しました。 障害のある方が自分自身で備えておくべきことから、支援者が知っておくべきポイントまで、 幅広い内容を網羅しています。イラストや図解を多用し、わかりやすい表現を心がけました。
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自分でつくる安心防災帳
~障害者の災害対策チェックキット~
「自分でつくる安心防災帳」は、障害者が自身の心身機能や生活で用いるモノやサービスを振り返りながら、災害時の備えを考えるための支援ツールです。印刷して用いるワークショップキットとして2015年から公開してきました。今回、これまでの調査データなどを反映して活用のためのガイドブックを新たに作成しました。また、ウェブブラウザで入力できるウェブアプリ版も新たに開発しました。
詳しく見るこれらは、日本医療研究開発機構の助成を受けて、障害者対策総合研究開発事業(身体・知的・感覚器障害分野)研究開発課題「災害時における身体障害者の生活・健康維持に必要な代替支援手段の選定を効率化するデータ駆動型アセスメントシステムの開発(24dk0310120h0403)」の成果品として作成したものです。
内容は上記研究の成果及び作成者自らの見解等に基づくものであり、所属研究機関、助成機関及び国の見解等を反映するものではありません。