幼児は、身体・認知・言語・情緒など、全ての面で発達途上にあります。「滑らかに話す」という能力においても同様です。そのため「滑らかに話す」能力がよりよく発達するよう、指導の場や家庭での環境づくりが必要になります。整えられた環境の中で、スムーズに話す経験を増やすことが、スムーズに話すための脳内の神経ネットワークを強くすることにつながり、吃音が消失していくことになります。
具体的な指導は、
の2本柱で実施されることが多いです。海外での新しい取り組みとしてとしては、リッカム・プログラム(滑らかに話せたときに「なめらかに話せている」ということを子どもに伝える。吃音が生じたときは、子どもの負担にならない頻度でもう一度なめらかに話すことを促す。これらを家庭にて親にも実施してもらう)による治療研究が多く報告されています。
小学校中学年くらいになると、なめらかに話せる時期が減ってきます。そのため、楽に話せるテクニックを指導に取り入れます。また、話すことに対して不安を感じたりして消極的になるお子さんもいますので、「滑らかに話す」ことだけではなく、よりよりコミュニケーターとなることを同時に目指す指導を行います。
大人は「うまく話せない」経験をたくさん積んできているので、吃音が生じたときに様々な工夫(二次的行動)を身につけていたり、複雑な感情を抱えていることが多いです。日常生活を送る上では、これらの付随する問題の方が大きく影響することもあります。もちろん、発話の症状も長年の経験で強固なものになっていますので、楽に話せるテクニックを学ぶとともに、二次的な行動を除く取り組み、また恐怖や不安などの感情についても指導で取り上げます。
古典的には、
という方法がとられており、それらについて多くの研究がなされています。
また、
などを吃音の治療に取り入れた報告もなされています。
近年は多面的(多次元的)アプローチが主流になっており、言語症状の治療だけでなく、心理面や社会面、感情・認知面についても考慮した治療を行うことが主流となりつつあります。