国立障害者リハビリテーションセンターは、医学的リハビリテーション、更生訓練、職能訓練および生活訓練を総合一貫的に実施し、職業訓練に連携する総合リハビリテーションを目的に在京の3施設(身体障害センター、聴力言語障害センター、東京視力障害センター)を統合して設立されました。研究所は、旧国立身体障害センター補装具研究所と旧国立東京視力障害センター研究室とを統合する形で発足しました。その後、昭和61年までに運動機能系障害研究部、感覚機能系障害研究部、福祉機器開発部、障害工学研究部、障害福祉研究部が発足し、6部制となりました。さらに、平成22年に感覚機能系障害研究部から分離独立して脳機能系障害研究部が発足し、現在の7部制となりました。
リハビリテーションは、障害のある方の障害の種類(肢体障害、知的障害、精神障害、発達障害など)だけでなく、リハビリテーションの過程(急性期、回復期、慢性期)や、個々のライフステージ(養育期、就学期、就労期、高齢期)やライフスタイルによってもニーズが異なります。一方、時代とともに技術的な進化もあり、センサ、ICT、3Dプリンタ、ロボット、ソフトウェアのプラットフォームの利用の仕方などを工夫することで、障害のある方の多様なニーズに柔軟に応えることができるようになってきました。当研究所は、障害のある当事者の方や、障害のある方を支えるユーザーの方のニーズに向き合い、シーズ視点で要素技術を組み合わせることで皆様のニーズに応えるように研究開発し、試作品の試作と実証実験を行って検証をするとともに、研究成果を社会に還元してまいります。また、研究成果としては医療機器や福祉機器という形だけではなく、治療のプロトコルや現場で働く理学療法士や作業療法士などの方へのアウトプットもあります。例えば、作業療法士の方向けに現場の多様なニーズに対応できるよう、3Dプリンタで自助具などを制作するワークショップなども行っております。