授業内容
視覚に障害のある方々に対する支援のひとつに、「自立訓練(機能訓練)」があります。これは、「見えない」もしくは「見えにくい」ことによって生じる生活上の不安や困難を軽減するための手段を、個々の状況に合わせた訓練を通じて提供する支援です。専門臨床科目においては、視機能が低下することによって生じる様々な不安や困難な状況を自ら体験するとともに、訓練で紹介する用具や技術の効果を検証しながら、その効果的かつ効率的な指導法を追求していきます。
歩行技術の理論と教授法(歩行訓練)
社会生活においては、通勤や通学など、目的の場所まで行き来する必要がありますが、見えにくさが生じることによって大きな制約を受けることになります。視覚に障害のある方々が移動を果たすための手段には、同行援護などの移動介助を受ける、盲導犬を使用するなどの方法もありますが、「白杖」を用いた単独歩行の方法を身に付けていただくための訓練が「歩行訓練」です。その際には、運動としての歩行だけではなく、環境情報を収集し、適宜有効活用することにより、状況を把握しながら行動を決定していく「オリエンテーション」と呼ばれる認知の過程についても知っていただく必要があります。演習では、そうした状況や過程を体感しながら、適切な指導ができるような経験を積み重ねていきます。
日常生活技術の理論と教授法(日常生活訓練)
見えにくさが生じると、食事や調理、掃除や洗濯など、それまで何気なく行っていたことであっても、戸惑いを感じることが多くなります。逆に、日常的な行為に困難が生じることによって、精神的な苦痛を感じるようにもなりかねません。「日常生活訓練」では、長年の経験によって培われた生活技能を生かしつつ、便利な用具や安全な方法なども紹介しながら、安心して日々の生活を送ることができるよう支援していきます。
コミュニケーション技能の理論と教授法(点字訓練・IT訓練)
メモを取る、手紙やメールを書いて気持ちを伝える、読書を通じて多くの考え方にふれるなど、意思の疎通に関わる場面や方法は多種多様です。この分野では、点字による読み書きを学ぶ「点字訓練」をはじめ、音声などを活用したパソコン等の操作方法を学ぶ「IT訓練」などを通じて、お互いが識別可能な手段を選択のうえ、幅広いコミュニケーションを図ることができるよう支援していきます。
ロービジョンの理論と教授法
見えにくさというのは、周囲の理解が得られにくいばかりでなく、本人も自分の見え方がよく分かっていないということが少なくありません。ここでは、見え方に対する理解を促しながら、それぞれの特性に応じた効率的な目の使い方や有効な補助具を紹介するとともに、自身の見え方に合った環境を自ら構築することができるよう支援していきます。
教官
丸山 華子
担当科目:
歩行技術の理論と教授法
歩行技術の理論と教授法演習等
学 位:学士(文学)
資 格:視覚障害生活訓練専門職
河原 佐和子
担当科目:
視覚障害リハビリテーション概論
ロービジョンの理論と教授法
ロービジョンの理論と教授法演習
日常生活技術の理論と教授法
日常生活技術の理論と教授法演習
学 位:学士(社会学)
資 格:視能訓練士
社会福祉士
視覚障害生活訓練専門職