視覚障害者雇用の拡大を目指して
ヘルスキーパー制度導入のための手引書
〜 総務・人事担当者のためのマニュアル 〜
国立障害者リハビリテーションセンター
職場開拓検討委員会
まえがき
「ヘルスキーパー制度導入のための手引書」改訂版の発行に当たって
厚生労働省が実施した「平成21年度視覚障害者の職業紹介状況調査」から、視覚障害者の職業別就職件数をみると、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅうを施す職業(以下、「あはき業」という。)への就職件数が全体の58.1%(そのうち、重度視覚障害者にあっては75.1%)を占めています。
近年、情報技術の進展に伴い、音声パソコン、DAISY録音再生機、点字電子手帳、拡大読書器等視覚障害者の就労を支援する様々な機器が開発され、事務系職種への就職も増えてきているとはいえ、依然として伝統的な職業とされる「あはき業」は、視覚障害者の主要な職業であるといっても過言ではないでしょう。
国立障害者リハビリテーションセンター理療教育・就労支援部理療教育課では、視覚に障害のある方を対象に、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家資格取得から、開業、就職、就労後の知識・技術の向上まで、一貫した支援を行っています。
当センター卒業生の進路は、治療院を開業したり、治療院・病院・特別養護老人ホーム等への勤務や、ヘルスキーパー(企業内理療師)として一般企業へ勤務、進学等となっておりますが、必ずしも本人の希望通りにならない状況が散見されます。
このため、当センターではこれまで、卒業生、学識経験者等で構成する「職場開拓検討委員会」を設置し、利用者の進路指導の充実と職場開拓の推進に努め、平成12年度に、ヘルスキーパーの雇用拡大を目指したマニュアル「ヘルスキーパー制度導入のための手引書」を発行し、平成15年度まで毎年改訂して参りました。
この手引書は、副題の「総務・人事担当者のためのマニュアル」が示すように、企業が新たにヘルスキーパーを導入する際の考え方や準備作業を具体的にまとめたものであり、手引書の配布や当センターホームページでの公開によって、ヘルスキーパーの導入を企画されようとする企業の方々のお役に立てたのではないかと思っております。
しかしながら、平成16年3月31日付けの版以降、資料内容の更新がされていないこと等から、改訂を望む問い合わせを多く受けるようになり、今般、改訂版を発行することにいたしました。
高度情報社会の現代においては、職場で、目の疲れや首・肩のこり、頭痛、腰や膝の痛み、さらには不眠や食欲不振等の症状を訴える職員が増えてきています。このような症状を改善するには、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅうなどが効果的であり、これらを施すことによって、職員の疲労回復や心身のバランスが調整され、ひいては業務の能率向上に資することができます。
今回の手引書の発行によって、今後も多くの企業等で視覚障害者をヘルスキーパーとして採用されることを期待して止みません。
この度の改訂版発行に当たり、企画から原稿の執筆、編集、構成に至るまで担当された当センター職場開拓検討委員会委員である、清水コンサルタント代表の清水俊勝様をはじめ、取材にご協力いただきました関係各位に心より感謝申し上げます。
平成23年12月 1日
国立障害者リハビリテーションセンター
理療教育・就労支援部長 飯塚 敏幸
目次
○ まえがき
3. 視覚障害者を対象とした新たな職域開拓を目指した取り組み