平成10年国立身体障害者リハビリテ−ションセンタ−入所者入院統計

診療部 牛山武久 ・関 寛之・長岡正範
看護部 西川民子・星出五十鈴

〔目的〕
 国立身体障害者リハビリテ−ションセンタ−入所者の疾患に対する医学的管理, 急変時の対応, 健康・予防への取組等を考えるために平成10年1月1日〜平成10年12月31日までの1年間の入所者入院統計を行った.

〔結果〕
 上記期間の1ケ月あたり入所者平均在所数は346名でそのうち年間入院延数99名(男子79名,女子20名)であった.年齢は18歳〜55歳,平均27.9歳であった.
 入院先は国リハ病院72名(73%),他病院27名(23%)であった.障害別入院数は肢 体57名(月平均肢体在所数120名),理教 26名(同158名),視覚一般リハ7 名(同12名),聴覚5名(同47名),生訓4名(同9名)であった.
 入院期間は1〜365日,平均31.2日であったが,1週間以内28名,1〜2週間2 4名,3〜4週28名と81% が1 カ月以内の入院であった.原疾患別数は脳疾患23, 頸損15脊損18, 糖尿病性網膜症16, 感音性難聴4その他23であった.入院病名は 原疾患と関係あるもの63名(64%),関係なし36名(36%)であった.
 原疾患と関係ある入院病名は脳疾患では症候性てんかん,水頭症,シャントトラブル,腫 瘍の再発,痙攣発作,頭痛,脊損頸損では尿路感染,褥瘡,副睾丸炎,自律神経過反射, 糖尿病では糖尿病悪化,糖尿病性網膜症悪化,腎不全,透析導入,その他分裂病悪化など であった.原疾患と関係ないものでは急性腹症,急性胃腸炎,イレウス,中耳炎,ヘルニ ア,尿管結石,急性アルコ−ル中毒であった.死亡例は1 例あり脳内出血のため他院で死 亡した.

〔結語〕
 入院が必要な国リハ入所者の疾患は原疾患と関係あるものが64% で, ある傾向がみられる. しかし関係のない一般的な疾患もありそれらに対応するために今後更にスタッフの充実, 医療機器の充実に向けて努力したい.またセンタ−内で対応できない疾患については近隣の医療施設との連携を更に密にしていきたい.




前頁へ戻る 目次へ戻る 次頁を読む