高次脳機能障害者に対するクリーニング作業の改善点と試みとしての指導援助の例

職能部 若林耕司 ・吉田喜三

1 はじめに
 現在、職能部のクリーニング訓練室では、高次脳機能障害者7名、盲聾者1名、視覚障害者4名、計12名が、一般就労及び、福祉的就労等に向けて訓練している。
 近年、高次脳機能障害を持った訓練生が増え、その中には簡単な作業工程が憶えられない、憶えたことをすぐに忘れてしまう、単純な見落としに気がつかない等の問題を抱え、1、2週間の短期間の訓練では訓練効果が期待できず、一つの作業工程の一部を習得するのにもかなりの期間を費やすか、あまり効果が表れない場合が多い。
 今回、特に作業習得が困難な高次脳機能障害者として脳動静脈奇形破裂による脳出血の2名の訓練生の例もふまえての指導上の留意事項について経験的な視点で整理した結果を紹介する。

2 訓練環境、教材等の面での工夫
(1)安心して取り組める環境、(2)視覚的に理解し行動し易い環境(機械操作の固定化)、(3)実践的な教材、(4)視覚的に理解し易い教材、等

3 試みとしての指導援助の方法
(1)作業を細分化した丁寧な指導、(2)継続した繰り返しの指導、(3)指導者の真横で同じ方向に向かせた位置での指導、(4)視覚に訴えるような指導、等

4 具体例
(1)訓練生 A氏の行動観察、(2)訓練生 B氏の行動観察

5 まとめ
 クリーニング訓練においては、限られた期間に高次脳機能障害を持った訓練生をいかにして育て、社会復帰に向けての支援がどこまでできるか挑戦するという心構えで、情報収集を行いながらも、主に経験と勘による手探りによる方法で取り組んでいる。
 今後、高次脳機能障害者の職業的な面の指導援助については、これまでの就労に向けての援助や訓練の現場での経験等を整理し、今まで以上に医学的面、心理的面、生活面等の担当者との情報交換を密にして取り組んでいきたい。




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