補装具制作部 |
小池雅俊
・田村 徹・東江由起夫
高橋攻次 |
学院 義肢装具学科 | 栗山明彦 |
1.コースの目的と経過
本研修は、発展途上国の義肢装具製作従事者に対し技術を伝達し、各国の技術向上に資することを目的としている。1981年に国際障害者年を記念して東南アジアを対象に特設コースとして始まり、1986年度より東南アジア以外も対象とした集団コースとなった。
2.カリキュラム
国リハでの義肢装具の体系的な製作適合実習(約10種)を中心に義肢装具に関する講義及び施設見学や学会参加等で構成している。各国の経済力/技術力格差が大きいため、基礎を中心にカリキュラムを編成し、最新技術の講義を随時取り入れている。研修の主体となる実習では義肢装具士の養成校と同様に、授業形式で段階的に工程を説明しながら進行している。
3-1.実績(国別)
1999年度で19回を数え帰国研修員は累計で27か国91(個別研修4件含む)件となっている。清水基金による参加者も2か国6件あり、全体では28か国97件が研修を受けた。職種の内訳は6割が製作技術者で、他はPT、MDr.等である。
3-2.実績(フォローアップ)
帰国研修員に対するフォローアップとして、現地の技術レベル・要望等の現状把握を目的として現地調査及び研修会を過去に2回行った。第1回は1992年タイ、マレーシア、フィリピンを対象に、第2回は1997年にインドネシア、マレーシアを対象にフォローアップが実施された。また、帰国研修員対象のアンケート調査を1997年に行った。これらの調査から、帰国研修員の所属機関への定着率は非常に高く技術を自国の状況に合わせて活用していることが確認された。
4.現状の問題点
成果も多いが、認識すべき課題もある。下記に問題点を整理する。
研修員帰国後の技術伝達を妨げる要因
・習得や製作行程に時間のかかる技術は敬遠される可能性が高い
・交流組織がなく技術伝達の範囲が施設内に限定されやすい
・訓練や評価を含めた関連職種との調整が確立しない場合がある
実施に伴う問題
・対象国の経済力/技術力格差への対応
・リハチームアプローチへの対応
・業務の多様化に伴う負担の増大
5.展望
今後とも講義項目と実習項目について見直しを継続し、国別コース等の検討をすすめる。製作技術者のみの努力では組織だった動きは難しいため、他部門とのコーディネートを行う責任者も対象に加えていく。