職能訓練修了者に対する後指導(フォローアップ)の実態について

更生訓練所 職能部 近藤和弘

1.はじめに

 センター修了後の職業生活及び社会生活を維持するための支援として後指導が行われている。今回、職能部が行っている後指導の実態について調査を行ったので報告する。

2.後指導の対象者と定義

 本調査では、当センター職能訓練修了者と職能訓練後に国立職業リハビリテーションセンターを利用し修了した者に対して行った場合。及び、前述の修了者を支援する者(事業所・家族・施設職員・ボランティア等)に対して行った場合とした。

3.調査方法及び項目

 平成10年4月1日〜平成13年3月31日の3年間において記録している、職能指導室の日報・出張記録・各ワークショップの日報・ケース記録・各職業指導専門職の個人的な記録の各種資料を基に後指導記録を作成し整理した。項目は、職能訓練修了状況、後指導日、対応職員、相談内容、後指導の発生元と相談・連絡先、結果等である。

4.結果

 後指導対象者は肢体53名、聴覚8名、視覚15名の計76名。総件数は497件。1人当たりの最多回数は66回。修了後1日目の人から18年前に修了した人まで支援されていた。修了後3年以内の後指導が44%、4〜6年以内が42%であった。対応職員は職能指導室職員25件、職業指導専門職478件、その他7件(複数回答)。相談内容は「近況報告171件」「支援者対応130件」「近況把握117件」「技術向上および技術指導61件」「健康49件」「賃金30件」「職場での人間関係」「展覧会や個展の相談や情報提供」「作品制作依頼」「職場の設備や環境」「解雇及び退職」「退職及び転職の相談」「コミュニケーション」「就業態度」「住居環境」等の順で多かった。発生元はセンター側からが4分の1、外部からの相談が4分の3であった。

5.まとめ

 最近のセンター利用者は、高次脳機能障害や知的な障害のある人が増えてきている。このような人達は、社会性が未熟であったり、対人対応が苦手であったり、精神的なフォロー等が必要な人が多く、より慎重な後指導が大切であると考える。今後、今回の結果を踏まえより効果的な後指導を検討し実施していきたいと考えている。




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