脊髄損傷のPhysical fitness に関与する因子

病院 谷津隆男・山崎裕功・佐久間 肇・赤居正美・堀 達之・伊藤順一・石井 昇・渡司雅代・スポーツ訓練部・2階病棟看護部

目的:

 身体障害者の場合,Physical fitnessの指標としてAnaerobic Threshold(AT)が良く用いられる。脊髄損傷者(脊損)のPhysical fitnessに関与する因子についてATを用いて調査する。

対象:

 最近1.5年間に国立身体障害者リハビリテーションセンター病院に入院した脊損72名とした。

方法:

 入院1ヶ月以内にATを測定した。又ほぼ同時期に 対象者の日常生活活動(Barthel index・FIM)と車椅子能力の瞬発力(10mDash)や持久力(20mTurnによる3分間走)を調査した。ATの背損レベル群比較を一元配置分散分析法で,ATと日常生活活動・瞬発力・持久力との相関をピアソン相関係数にて,ATの完全型と不全型の比較をt検定にて検討した。

結果:

 1.完全型脊損の場合に高位脊損レベル程入院時のATは低値であった。
 2.完全型脊損の場合入院時のATは 日常生活活動や車椅子の持久力と相関が認められた。
 3.脊損の完全型と不全型との比較では,頚髄損傷では有意差が認められたが,胸腰髄損傷の場合は有意差が認められなかった。

結語:

 脊髄損傷者のATを指標にしたPhysical fitnessは 機能残存筋の量と残存筋の活動性によって影響されることが認められる。





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