脊髄損傷の入院時と退院時のPhysical fitness の比較

病院 谷津隆男・山崎裕功・佐久間 肇・赤居正美・堀 達之・伊藤英也・辰村正紀・草野修輔・石井 昇・渡司雅代・スポーツ訓練部・2階病棟看護部

目的:

 Physical fitnessの指標としてAnaerobic Threshold(AT)が最近良く用いられる。脊髄損傷者(脊損)は 発症後の安静期間にPhysical fitnessが低下することが多い。そこで 亜急性期を中心としたリハビリテーション訓練におけるPhysical fitnessの改善の程度と,それに関与する因子を調査した。

対象:

 最近1.5年間に国立身体障害者リハビリテーションセンター病院に入院した脊損72名とした。平成12年12月以後に国立身体障害者リハビリテーションセンター病院に入院し 平成13年7月以後に退院した脊損30名(男性26名,女性4名)とした。対象の平均年齢は34.2才で,頚髄損傷13名 胸髄損傷13名 腰髄損傷4名であった。

方法:

 入院1ヶ月以内と退院前1ヶ月以内にATを測定した。又 脊損の日常生活活動(Barthel index・FIM)と車椅子能力における瞬発力(10mDash)や持久力(20mTurnによる3分間走)を定期的に調査した。ATの入院時と退院時の比較をT検定にて,ATの変化と日常生活活動・瞬発力・持久力との相関をピアソン相関係数にて検討した。

結果:

 1.ATは入院時に比較して退院時有意に向上していた。
 2.頚髄損傷者の場合は ATの向上はFIMの向上と相関が認められた。
 3.胸腰髄損傷者の場合は ATの向上は10m走や3分間走と相関が認められた。

結語:

 脊髄損傷者のPhysical fitnessは 亜急性期でもリハビリテーション訓練において向上し,日常生活活動の向上や車椅子能力と関与することが認められた。




前頁へ戻る 目次へ戻る 次頁を読む