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よくあるご質問

このページでは高次脳機能障害に関するご質問にお答えいたします。

全国の高次脳機能障害者数について

高次脳機能障害の定義

高次脳機能障害の症状

高次脳機能障害の診断

症状の経過

家族の接し方


全国の高次脳機能障害者数はどれくらいでしょうか?

A:高次脳機能障害者数については、平成13年(2001年)度から5年間行われた高次脳機能障害支援モデル事業において、すべての年齢層をあわせて全国で約27万人、そのうち18歳以上65歳未満は約7万人と推定されています。1) 
   一方、平成20年(2008年)に東京都で実施された調査2)によれば、東京都内の高次脳機能障害者数は49,508人と推定され、したがって全国の高次脳機能障害者数は約50万人となります。これはすべての年齢層で、寝たきりに近い重度の症例まで含んだ推計です。
 同じく平成20年(2008年)に福岡県で実施された調査3)によれば、年齢を6歳から69歳に区切り、リハビリテーションにより社会復帰をめざす中等度障害の高次脳機能障害者に限った場合、高次脳機能障害者は全国で年間2,884 人発症し、累計で68,048人と推定されます。

参考資料
1)    中島八十一 :高次脳機能障害の現状と診断基準.中島八十一,寺島彰編: 高次脳機能障害ハンドブック―診断・評価から自立支援まで. 医学書院,東京,pp.1-20, 2006.
2)    渡邉修, 山口武兼, 橋本圭司, 猪口雄二, 菅原誠: 東京都における高次脳機能障害者総数の推計. 日本リハビリテーション医学会誌 46(2), 118-125, 2009.(http://dx.doi.org/10.2490/jjrmc.46.118  総合電子ジャーナルプラットフォームJ-STAGEへリンク
3)    蜂須賀研二, 加藤徳明, 岩永勝, 岡崎哲也:日本の高次脳機能障害者の発症数. 高次脳機能研究31(2), 143-150, 2011.
      (http://dx.doi.org/10.2496/hbfr.31.143  総合電子ジャーナルプラットフォームJ-STAGEへリンク

高次脳機能障害とはどのようなものですか?

A:「高次脳機能障害」という用語には、学術用語としては、脳損傷に起因する認知障害全般を指し、 失語・失行・失認のほか記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などが含まれます。

一方、平成13年度に開始された高次脳機能障害支援モデル事業において集積された脳損傷者のデータを慎重に分析した結果、 記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害を主たる要因として、日常生活及び社会生活への適応に困難を有する一群が存在し、 これらについては診断、リハビリテーション、生活支援等の手法が確立しておらず早急な検討が必要なことが明らかとなりました。

そして支援対策を推進する観点から、行政的に、この一群が示す認知障害を「高次脳機能障害」と呼び、 この障害を有する者を「高次脳機能障害者」と呼ぶこととしました。

具体的な例としては、頭部外傷や脳卒中などによって、重い意識障害に陥るような状態となり、治療の後、意識が戻り、歩行や食事ができるようになり、外見上は回復したように思えるのに、「会話がうまくかみ合わない」、「段取りをつけて物事を行うことができない」などの症状が現れ、周囲の人に「人が変わった」、「怠け者になった」といった印象を与えるような状態のことです。このような例では、これらの症状が日常生活や社会復帰に大きな支障となっているにも関わらず、一見しただけではわかりにくいため、ご本人やご家族、さらには医療関係者等の間でも、この症状が脳の損傷の後遺症によるものであるということ、そして、この症状にどう対応すればよいか、といったことなどが、なかなか理解されにくいというのが現状です。以下の項目においても行政的な高次脳機能障害についての取り組みを想定して、質問にお答えします。

行政的に高次脳機能障害の症状とは、どのようなものを指すのですか?

A:次のような症状を指します。

A1:記憶障害:物の置き場所を忘れたり、新しいできごとを覚えていられなくなること。そのために何度も同じことを繰り返し質問したりする。

A2:注意障害:ぼんやりしていて、何かをするとミスばかりする。また物事に集中できず、すぐに飽きてしまう。ふたつのことを同時にしようとすると混乱する。

A3:遂行機能障害:ものごとを目的に合わせて適切にやり遂げることができない。ひとつひとつ指示してもらわないと何もできない。物事の優先順位がつけられず、いきあたりばったりの行動をする。

A4:病識欠如:自分が障害をもっていることに対する認識がうまくできない。障害がないかのようにふるまったり、言ったりする。

A5:社会的行動障害など

  1. 依存性・退行:すぐに他人を頼るようなそぶりを示したり、子供っぽくなったりすること。           
  2. 欲求コントロール低下:我慢ができなくて、何でも無制限に欲しがること。好きなものを食べたり、飲んだりすることばかりでなく、お金を無制限に遣ってしまうことにもみられる。          
  3. 感情コントロール低下:場違いの場面で怒ったり、笑ったりすること。ひどい場合には、大した理由もなく、突然感情を爆発させて暴れることもある。          
  4. 対人技能拙劣:相手の立場や気持ちを思いやることができなくなり、良い人間関係をつくることが難しい。          
  5. 固執性:一つのものごとにこだわって、容易に変えられないこと。いつまでも同じことを続けることもある。          
  6. 意欲・発動性の低下:自分では何もしようとはしないで、他人に言われないと物事ができないようなボーッとした状態。

高次脳機能障害に該当するかどうかは、どのようにわかりますか?

A:別掲診断基準により診断することとなります。主要症状(脳の受傷等に伴う、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害)の有無と生活上の問題を確認し、脳のCTやMRIなどの画像検査で、これらの症状の原因と考えられる脳の損傷を確認します。脳の損傷が画像調査ではっきりとわからない場合には、過去に脳の損傷の原因となる事実があったかどうかを確認する必要があります。

高次脳機能障害の症状は、回復しますか?

A:高次脳機能障害にも様々な症状があり、その内容に合わせた適切な訓練(リハビリテーション)を受けることで治療効果がみられ、症状が回復する場合があります。しかし、すべての方に明らかな効果があるとは限りません。また、中には高次脳機能障害の原因となる脳の損傷の発症(受傷)から長い年月を経てもよくなる方がいますが、一般的には発症(受傷)から年数の経った場合ではよくなる程度に限界があると考えられ、早期の訓練が望まれます。

以前と人が変わってしまったようなのですが、どうしたらよいのですか?

A:まず脳損傷を受けた結果起きた変化を理解する事から始まります。この説明を受けるのはとても辛いことですが、専門家から正確に詳しく聞きましょう。その上で変化にどのように対応したらよいのか、どのようにして一緒に暮らしていくのか、専門家と時期をおいて繰り返し検討していくことが大切です。

前に出来たことが出来なくなって苛つくことが多くなったがどうしたらよいのですか?

A:高次脳機能障害を持った結果、以前に出来たことが全く出来なくなったり、出来るけれども遅くなったり、以前と同じ方法では出来なかったりと症状はいろいろ考えられます。そこでまず、家族や周辺にいる人はどのような場面で苛つくのかメモをとりましょう。現在の能力でできるように工夫したり、現在の能力で出来ることに目を向けたりするために、最も必要な資料がそこから得られると考えます。

暴れたり、怒ったりした時どう対応したらよいのですか?どのように対応したらよいのですか?

A:ちょっとしたことで怒り出したり暴れたりするようになったという話をよく聞きます。特に怒りの感情は対人関係に大きな影響を及ぼすことから深刻な問題となりがちです。

そういう場合は、冷静に人の声かけに耳を傾けられる状況ではありませんので、怒りに正面から向かおうとするとさらに事態が悪化したりします。まずは、怒りだしたら話題を変えたり場面を変えることも必要です。物理的にその場から離すことも有効です。そして、落ち着いたところで自分がとった行動について一緒に話し合ってみることが大切です。そうすることで自分の取った行動に対し反省の言葉が聞かれるようになったり、怒り出す原因やきっかけがわかることも多く、以後の対応のヒントが得られることもあります。

忘れっぽくなったようですが、家族はどのように対応したらよいのですか?

A:忘れやすいということは記憶に何らかの障害があると考えられますので、記憶を補う方法としてメモの活用などをおすすめします。メモを活用できるようにするためには、一定の訓練や指導を受けたり家族の協力も必要です。そのほか、よく使う物は目につきやすい決まった場所に置くようにするなど、家族も協力して環境を整えていくことが必要です。

訓練中はメモを取っていたのですが、在宅になってからはメモを取らなくなってきました。どのように対応したらよいのでしょうか?

A:訓練中はメモを取らないと訓練に支障を来したけれど、家庭生活では「あ、忘れちゃった」で済み、日常生活に大きな支障はないという状態になってはいないでしょうか?必要性が薄ければメモを取る意欲も薄れます。メモを取ることによって何が出来るようになるのかを本人が実感できることが大切です。

退院後,自宅にてごろごろすることが多く、外へ出たがらない、何もしたがらない場合、家族としてどのように対応したらよいでしょうか?

A:このような時に叱咤激励しても効果は期待できません。自発的に何かができない人にはするべきことを具体的に示してあげる必要があります。たとえば一日のスケジュールを決めて、スケジュールに沿ってひとつひとつ課題をこなしてゆくという方法で規則正しい生活リズムを作るようにします。スケジュールを決めても自らは行わないことが多いので、表にして見やすいところに張り、ひとつひとつ促してゆきます。活動内容はその方の能力に見合ったものを選ぶことが大切です。本人の興味のあることから始めたり、簡単な家庭内役割を持ってもらうのも動機づけに役立ちます。

集中して何か作業をすることが困難なのですが、どのような対応を行っていけば良いのでしょうか?

A:一度にふたつのことをしないで、まずひとつのことに課題をしぼります。その上で注意が持続し集中できるような環境にします。それでもすぐに疲れてしまって集中できないのであれば、集中できる時間を少しずつ延ばすようにします。そのためには興味の持てる課題や少し努力すれば出きる課題から始めると良いでしょう。集中が途切れがちな時には様子を見ながら声かけをするのも良いでしょう。励ますのも良いでしょう。集中できたときはほめてあげるのも達成感につながります。次の取り組みにもよい影響がでてきます。周囲の人や物音などに気が散って集中できないのであれば、部屋を変えるとか机を壁の方に向けるとかの環境の調整も必要になります。