モデル事業の概要

高次脳機能障害支援モデル事業

16年度 103,838千円

1. 事業の主旨
 高次脳機能障害者への具体的な支援方策を検討すべく、地方自治体及び国立障害者リハビリテーションセンターにおいて、「高次脳機能障害支援モデル事業」に取り組み、平成13~15年度の3か年において、「評価基準」「訓練プログラム」「支援プログラム」を作成することとしている。
 平成16年度においては、引き続き地方自治体と国立障害者リハビリテーションセンターの連携を図りつつ、これまでのモデル事業の成果を踏まえ、地域の関係機関の連携の下に、各種の制度を活用したサービス提供を試行的に行い支援体制の確立を図る。

2. 事業の内容
(1) 各自治体においては、支援対策整備推進委員会を設置し、個々のケースについての支援ニーズの評価を行うとともに、当該地域における事業の円滑な運営のため、地域の実態把握、関係機関の連携確保、事業の実施状況の分析、効果的な支援手法、普及啓発方法等について、総合的な検討を行う。

(2) 各自治体においては、支援の拠点となる機関を指定して、そこで「支援コーディネーター」を配置し、平成15年までの事業で作成された支援プログラム等を活用して、支援対象者の社会復帰支援のため、支援計画の策定や継続的な調整を行う。

(3) 国立身体障害者リビリテーションセンターは、15年度までの事業で作成された支援プログラム等を活用してサービスの試行的提供を自ら実施するとともに(1)、(2)の支援対策整備推進委員会及び拠点となる機関と連携して全国に普及可能な支援体制の確立に向けた検討に取り組む。

高次脳機能障害情報支援モデル事業の概念図 高次脳機能障害情報支援モデル事業についての流れ図
高次脳機能障害支援モデル事業 平成13~15年度の推進体制

(1)都道府県・指定都市(8県・市)

ア 連絡調整委員会

イ 地域拠点リハビリテーション事業(病院)

ウ 社会復帰施設事業

(2)国立身体障害者リハビリテーションセンター

ア リハビリテーションサービス事業((1)ア・イに相当)

イ 情報収集・提供事業

ウ 研修事業

高次脳機能障害支援モデル事業 平成16~17年度の推進体制

(1)都道府県・指定都市(8県・市)

ア 支援体制整備事業

  • 支援拠点機関の指定
  • 支援コーディネーター(仮称)の設置
  • 支援対策整備推進委員会の設置

イ リハビリテーション等提供支援事業

ウ 地域生活支援事業

(2)国立身体障害者リハビリテーションセンター
 (全国高次脳機能障害者支援拠点センター)

ア リハビリテーション・生活支援事業

イ 情報収集・提供事業

ウ 普及啓発事業

高次脳機能障害支援モデル事業実施要綱(国立障害者リハビリテーションセンター実施分)

第1 目的

 高次脳機能障害支援モデル事業(以下「モデル事業」という。)は、外傷性脳損傷などにより、記憶障害、注意障害、遂行機能障害等の後遺症を呈するいわゆる高次脳機能障害について、平成13年度から平成15年度までのモデル事業において作成された「診断基準」、「訓練プログラム」及び「支援プログラム」を活用し、国立障害者リハビリテーションセンター(以下「国立リハセンター」という。)が、国立リハセンターの病院及び更生訓練所の高次脳機能障害者に対してリハビリテーション等のサービスの試行的提供を行うとともに、地方支援拠点機関等と連携して、全国に普及可能な支援体制の確立を図ることを目的とする。

第2 実施主体

 本モデル事業の実施主体は、国立リハセンターとする。

第3 対象者

 高次脳機能障害診断基準により高次脳機能障害を有すると認定された者

第4 事業の内容

1 国立リハセンターの病院及び更生訓練所のリハビリテーションの実施

(1)障害評価の実施
 国立リハセンターにおいて高次脳機能障害の治療とリハビリテーションに携わる専門職チームにより、障害の評価を実施するものとする。

(2)機能回復訓練の実施
 運動機能の機能回復訓練と併せて、作業療法士、理学療法士等により、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害等の認知障害についての機能回復訓練を実施するものとする。

(3)社会適応訓練の実施
 生活支援員、作業療法士等により、社会生活技能を修得するための社会適応訓練と支援サービス提供を実施するものとする。

(4)職能訓練の実施
 作業療法士、職能指導員等により、就労準備としての作業習慣、基礎技術等を修得するための職能訓練を実施するものとする。

(5)社会復帰後の支援事業
医療従事者、生活支援員及び職能指導員等により、支援対象者の関係する事業者、学校、福祉施設、家庭等と連携を図り、支援サービス提供を実施するものとする。

2 情報収集及び提供事業の実施

 高次脳機能障害に関するデータベースの構築、国内外の関連情報及び研究成果の収集並びに提供を行うものとする。

3 普及啓発事業の実施

 高次脳機能障害支援モデル事業関係職員を対象としたシンポジウム等を開催するものとする。

4 地方支援拠点機関等連絡協議会の設置

(1)内容
 国立リハセンター、地方支援拠点機関等における症例についての障害の評価や社会復帰支援等の実践結果を踏まえ、支援ニーズの評価、事業実施状況の分析、効果的支援方法及び普及啓発方法等について総合的に検討し、支援体制の確立を図るものとする。

(2)構成員
ア 国立リハセンター 更生訓練所長、更生訓練所指導部長、研究所感覚機能系研究部長等
イ 地方自治体等 高次脳機能障害支援対策整備推進委員会委員長、支援コーディネーター等
ウ その他、国立リハセンター総長が必要と認めた者

第5 秘密の保持

 本モデル事業に携わる者(当該事業から離れた者を含む。)は、事業により知り得た対象者等の秘密を漏らしてはならない。

第6 その他

 本モデル事業に係る都道府県実施分については、別途実施要綱を定め実施するものとする。

高次脳機能障害支援モデル事業実施要綱(都道府県実施分)

第1 目的

 高次脳機能障害支援モデル事業(以下「モデル事業」という。)は、外傷性脳損傷などにより、記憶障害、注意障害、遂行機能障害等の後遺症を呈するいわゆる高次脳機能障害について、都道府県(指定都市を含む。以下同じ。)が指定する地方支援拠点機関と連携の下に、平成13年度から平成15年度までのモデル事業において作成された「診断基準」、「訓練プログラム」及び「支援プログラム」を活用し、高次脳機能障害者に対する機能回復訓練、社会復帰支援や生活・介護支援及び各種の制度を活用したサービスの試行的提供を行い、国立障害者リハビリテーションセンター(以下「国立リハセンター」という。)とともに、支援体制の確立を図ることを目的とする。

第2 実施主体等

 本モデル事業の実施主体は、都道府県とする。
 都道府県は、高次脳機能障害者の支援の拠点となる機関(以下「地方支援拠点機関」という。)を指定するものとする。

第3 対象者

 高次脳機能障害診断基準により高次脳機能障害を有すると認定された者

第4 事業の内容

1 地方支援拠点機関

 地方支援拠点機関に支援コーディネーターを配置し、平成13年度から平成15年度までのモデル事業において策定された高次脳機能障害についての「診断基準」、「訓練プログラム」及び「支援プログラム」を活用し、支援対象者の社会復帰支援のための相談、地域の関係機関との調整等を行うものとする。
また、高次脳機能障害者に対する機能回復訓練と社会復帰・生活・介護支援について、各種の制度を活用したサービスの試行的提供を行うものとする。

2 高次脳機能障害支援対策整備推進委員会

 都道府県は「高次脳機能障害支援対策整備推進委員会」(以下「推進委員会」という。)を設置し、当該地域における事業の円滑な運営のため、地域の実態の把握、関係機関の連携確保、事業の実施状況の分析、効果的な支援手法、普及啓発方法等について、総合的な検討を行うものとする。

3 地方支援拠点機関等連絡協議会への協力

 地方支援拠点機関等は、国立リハセンターが設置する地方支援拠点機関等連絡協議会に推進委員会委員長及び支援コーディネーターを参加させ、全国に普及可能な支援体制の確立に協力する。

第5 秘密の保持

 本モデル事業に携わる者(当該事業から離れた者を含む。)は、事業により知り得た対象者等の秘密を漏らしてはならない。

第6 国の助成

1 国は、都道府県が本モデル事業のために支出した費用を、別に定めるところにより補助するものとする。

2 都道府県知事(指定都市市長を含む。)は、国の補助を受けようとするときは、別に定めるところにより、予め厚生労働省に協議しなければならない。

第7 その他

 本モデル事業に係る国立リハセンター実施分については、別途実施要綱を定め実施するものとする。

地方支援拠点機関等連絡協議会運営要領

第1 目的

 この要領は、高次脳機能障害に対する標準的な評価基準及び社会復帰・生活・介護支援プログラムの確立を図るため、高次脳機能障害支援モデル事業実施要綱(国立障害者リハビリテーションセンター実施分)第4の4の規定に基づき設置される地方支援拠点機関等連絡協議会(以下「協議会」という。)の運営に必要な事項を定め、審議の円滑な実施を図ることを目的とする。

第2 構成員

 協議会は、国立障害者リハビリテーションセンター(以下「国立リハセンター」という。)総長が、次に掲げる者のうちから委嘱した者(以下「委員」という。)をもって構成するものとする。

1 国立リハセンター職員で総長が必要と認めた者
2 地方支援拠点機関等に所属する支援コーディネーター・医師等
3 学識経験のある者
4 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部職員

第3 協議会の責任者

1 協議会の責任者は委員長とし、委員の互選によりこれを選任するものとする。
2 委員長は、会務を総理するものとする。

第4 任 期

 協議会の委員の任期は2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

第5 作業班の設置

1 協議会に、作業班として企画班、支援コーディネーター班、専門委員班のほか、必要に応じ班を設置することができるものとする。
2 班員は委員のうちから委員長が指名した者をもって構成するものとする。
3 班には責任者として正副の班長を置くものとし、委員長がこれを指名するものとする。
4 班長は、班務を掌理するものとする。

第6 作業班の構成及び所掌事務

1 企画班
 厚生労働省職員、医師、医療専門職、福祉専門職等により構成し、地方支援拠点機関等連絡協議会に関し、総合的企画及び調査ならびに調整を行う。

2 支援コーディネーター班
 医師、医療専門職、福祉専門職等により構成し、標準的かつ適切な社会復帰・生活・介護支援プログラムを作成し、家庭又は社会復帰を目指す高次脳機能障害者に必要なサービスを提供し、この事例収集を通じて、これを検証するために必要な情報の交換、意見の調整並びに審議を行うものとする。

3 専門委員班
 医師、医療専門職、福祉専門職等により構成し、高次脳機能障害診断基準を検証し、標準的訓練プログラムを作成し、これを検証するために必要な情報の交換、意見の調整並びに審議を行うものとする。

第7 守秘義務

1 協議会及び班の構成員は正当な理由がなく本業務上知り得た秘密を漏らしてはならないものとする。
2 前項の定めは当該業務を離れた後においても適用するものとする。

第8 会議の非公開等

1 協議会及び班の会議は、必要に応じ随時開催できるものとする。当該会議は原則非公開とするものとする。
2 ただし、委員長が認めた場合はこの限りでない。

第9 庶務

 協議会及び班の庶務は、国立リハセンター管理部医事管理課において処理するものとする。

第10 その他

1 この要領に定めるもののほか、協議会の運営に必要な申し合わせ事項等は、別に定めるものとする。
2 この要領は、平成16年8月5日から施行するものとする。

実施主体

1. 国立障害者リハビリテーションセンター

2.都道府県又は政令指定都市

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