発達障害の早期発見の時期について

厚生労働科学研究における地域調査の報告

 豊田市こども発達支援センターを受診した児について、HFPDD(高機能広汎性発達障害=知的な遅れのない自閉症とほぼ同義)は、健診で幼児期前期から中期に発見、引き続いて診断がなされており、幼児期前期(1~2歳)からの診断と療育開始が可能と考えられました。これに対して、ADHD(=注意欠陥多動性障害)では主に学童期に小学校で、次いで幼児期中後期(3~6歳)に3歳児健診や保育所等で発見され、診断は学童期や幼児期後期(5~6歳)になされていました。

  (出典) 平成17~19年度厚生労働科学研究「発達障害(広汎性発達障害、ADHD、LD等)に関わる実態把握と効果的な発達支援手法の開発に関する研究」(主任研究者:市川宏伸 都立梅ヶ丘病院) 

国立精神・神経医療研究センターによる専門家向けの情報提供

発達障害のある人と接する周囲の方へ

 国立精神・神経医療研究センターのホームページのうち、専門家(保健師、小児科医、心理士など)向けに作成した「1歳から始めましょう、発達障害児と家族への早期総合支援」に、以下のように記載されています。

  • 自閉症は「1歳6か月時点から早期兆候がみられる」
  • 注意欠陥多動性障害は「1歳6か月での発見は困難」
  • 学習障害は「1歳6か月では調べられない」
  • 注意欠陥多動性障害や学習障害は「学校に上がってから治療のニーズがわかる」

研修

 国立精神・神経医療研究センターが、都道府県等の指導的な立場の医師や保健師向けに毎年1回(平成28年度は6月15~17日に実施)行う「発達障害早期総合支援研修」のテキストにおいて、発見の時期について以下のように記載されています。

・自閉症(自閉症スペクトラム障害):
 幼児期前期(1~2歳)>幼児期後期(5~6歳)
・注意欠陥多動性障害:
 学童期(7~12歳)>幼児期後期(5~6歳)>幼児期中期(3~4歳)
・学習障害:
 学童期後期(11~12歳)>学童期前期(7~8歳)