体調不良をよく訴える子どもや、気分の浮き沈みが大きい子どもの中に、発達障害の子どもがいるかもしれません。

困りごと:体調の変化に対応できない

最近ずっと眠れない。朝は無理やり起こされて、ボーッとしてる。学校は休まないけど、授業は聞いてない。

授業中、倒れちゃった。保健室の先生に「何でこんなになるまで我慢してたの!」って叱られた。

生理の時は最悪。ナプキンはゴワゴワするし、服を汚してないか心配で勉強どころじゃない。みんな何で平気そうにしているの?

 何でこんなにイライラするのかな。えっ、生理と関係あるの?・・・そういえば、生理の時は友だちとけんかしちゃうことが多いかも。

 発達障害の子どもは、痛みや疲れ具合に気づきにくく、違和感があってもうまく伝えられないために、限界まで我慢してしまうことがあります。

 また、月経時に感覚過敏の特性が強まったり、月経前症候群(PMS)の症状が重かったりして生活に困難を感じている子どももいます。

支援のポイント:自分の体調をとらえる  月経周期を知る

 感覚過敏による違和感を我慢していることや、周りに合わせようと頑張っていることなどのストレスが、慢性的な体調不良につながる場合があります。体温、脈拍、血圧を時々チェックするなどして、自分の体調を客観的に把握する方法を一緒に考えるとよいでしょう。自分で判断することが難しい場合は、本人の変調に気づいた時に「休憩しよう」「保健室に行こう」などと声をかけてもらえるように、身近な人に頼んでおきましょう。

 月経周期に関連する体調の変化については、イラストなどを使って具体的に教えましょう。イライラ感や腹痛などの原因がわかれば、入浴やマッサージなど自分なりの対応を考えることができます。月経周期をカレンダーに記録する、基礎体温表をつけるなどして、身体のリズムを目で確認すると不安が軽減する場合もあります。月経の手当てがうまくできない子どもには、養護教諭や母親に協力してもらい、写真や実物を使って教えるとよいでしょう。

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困りごと:突然イライラしたり、落ち込んだりする

思い通りにできない時とか、イライラが抑えられなくて爆発しちゃう。「ああ、やっちゃった」って自己嫌悪。みんなにも「またか」って思われてるし。

蒸し暑い体育館は苦手。我慢して集会に参加してたら、「何か怒ってる?」って言われちゃった。

 自分でもわからないんだけど、突然泣きたくなる。「どうしたの?」って周りは心配してくれるけど、できればそっとしておいてほしい。

 発達障害の子どもは、ささいな刺激で急に不機嫌になったりすることがあります。また、天候、気温、月経周期などの影響を受けて、気分が大きく変わる場合もあります。

 イライラや落ち込みの背景に気づくことや、自分の気持ちを言葉で表現することが苦手なので、困っていても周りに理解してもらえないことが多いようです。

支援のポイント:自分の気分に気づく  気持ちを切り替える

 どんな時にイライラしたり落ち込んだりするのか、気分の変動の背景に本人が気づけるような支援が必要です。天候、場所、体調、授業や活動の内容など特定の事柄が関連していないか、本人と一緒に振り返ってみましょう。

 自分の状態や気分を把握するために、イライラなどの程度を数値化する方法もあります。数字で表現することによって、周りの人に伝えたり休憩のタイミングを判断したりしやすくなります。  

 あわせて、深呼吸する、ストレッチをする、場所を変える、触ると安心するお守りのようなものを持つなど、気持ちを切り替えるための自分なりの方法を、子どもと一緒に考えておくとよいでしょう。

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