青年・成人期における特徴

 成人期での本人の困り感や生きづらさは、まわりの人には理解しにくく、こじらせてしまうことが多いように思います。そのため、ひきこもりや身体症状になって初めて気づかれる場合もあります。ときには、強い被害感や抑うつ状態のため治療が必要になることもあります。

 また、成人期まで診断を受けることや適切にかかわられることもなくきた人たちの中には、長い間まわりとのズレや違和感を抱きながら、ご本人なりの工夫をして過ごしてきた人たちもいます。進学・就職・結婚・出産・子育てなどの新しい生活のステージに移るときに、新たな困り感が生じることがあります。

 これまでに診断を受け、サポートを受けていた方も、進学や就職など新しい場面に移るとき、サポートしてくれる場所や人を確保しておく必要があります。

大学での注意点と対応方法

 大学進学後、以下のような悩みをもつ場合があります。

  • 大学では単位の取り方がわからない
  • 講義がテキストに沿っていないので理解できない
  • 指導教員とうまくいかない
  • サークル活動への参加の仕方や断り方がわからない
  • 友人ができないなど

 学生課などが窓口となり、学生相談室や保健管理センターのカウンセラー、当該学年やクラス担任、指導教員などが中心となり、本人と各部所の連携しながら支援していくことが必要です。現在、障害のある学生への修学支援を行う大学が増えてきています。

障害者雇用について

 一般企業や団体に就労する場合、障害者手帳を取得し障害者雇用によって就労する場合と、障害者雇用を利用しない場合(手帳をもたない場合、もしくは、もっていても障害を雇用主側に伝えないで就労する場合)があります。後者の場合は公的に受けられる就労支援サービスにはさまざまな制限もでてきます。就労支援に利用できる機関や支援サービスにはちがいがあるので、地域障害者職業センターのウェブサイトなどで確認してください。

就労後の注意点と対応方法

 発達障害の人の場合、一般的に高学歴が安定した職業生活へ直結するわけではありません。職場では他者とコミュニケーションを行い、折り合いをつけながら先輩・後輩、上司や部下、取引先や顧客との関係を調整しながら自分の仕事を着実にこなすことが求められます。
 さまざまな就労トレーニングのプログラムが開発されていますが、就労しながらトレーニングを受けることは困難であり、心理的な悩みやストレス、対処法といったものをアドバイザーや仲間と話し合える場や機会も必要です。

社会生活における注意点と対応方法

 発達障害の人たちが社会生活を送るために必要なスキルは、単に知能だけではかれるものではありません。知識はあってもこだわりや刺激過敏、過去の失敗経験や経験不足などの要因によって、家庭内での身辺自立や交通機関の利用や買い物などの地域への外出などに困難をもつ人も少なくありません。診断があれば手帳がなくても、その程度に応じて自立支援法のサービスが利用できます。

 また騙されやすさから、押し売りや悪徳セールスに悩まされたり、借金を頼まれて断りきれず貸してしまったりなど消費生活に関するトラブルに見舞われることもあります。相談先としては家族以外に地域の消費生活センターや弁護士会などが利用できます。