発達障害の支援を考えるとき、忘れてはならない基本原則があります。とくに大切な2つのポイントについて、押さえておきましょう。ここで示す肯定的な接し方やスモールステップの考え方は、発達障害の人だけでなく、すべての人への接し方や教え方、支援の仕方の基本でもあります。

以下のページもあわせてご覧ください。
発達障害教育推進センター研修講義「発達障害のある子どもへの指導・支援体制(1)」
発達障害教育推進センター研修講義「発達障害のある子どもへの指導・支援体制(2)」

肯定的な対応をする

 本人が成功体験をし、生き甲斐を感じ、自信をもって物事に取り組めるようにすることが支援の原則です。失敗経験が多いと、課題を避けるようになったり、何事にも回避的・否定的になったり、自分はだめだと落ち込んだり、他の人や社会のせいにして批判的・攻撃的・反社会的行動傾向が強まったりしてしまいます。

 失敗経験が多く自己肯定感が低下している場合、本人ができないことや失敗したことを責めたり、叱ったりすることは、より本人を追いつめる結果をもたらしてしまいます。注意をする場合も努力している点やうまく行っている点をほめたうえで、「~はすごくいいね。うまくできない○○をよくするには……するといいよ」など、どのようにすればもっとよくなるかを肯定的、具体的に伝えていくとよいでしょう。

スモールステップによる支援

 スモールステップとはちょっぴりがんばればできそうな、手の届きそうなことを目標にするやり方のことです。

 ある高さまであがるのに階段があるとします。難なくあがれる人もあれば、その段の高さに圧倒されて登れない人もいます。でも、一段ずつの段を低くしてあげれば登りやすくなります。そういうふうに、課題を細かく分けて一つずつクリアできるように手助けするのがスモールステップの支援の考え方です。

 スモールステップは学習や仕事などさまざまな場面で有効です。