【患者さんの誘導など】

当院は障害者施設という特徴から、患者さんを撮影台に移すとき、安全な移乗を心掛けて業務をしております。

【脊椎損傷者の対応】

脊髄損傷の患者さんの撮影において心掛けていることは、患者さんのマヒなどの肢体状態に対応して、できる限り身体の負担を軽減させ撮影を行うことです。
胸部撮影などでは体を起こした姿勢が撮影上理想的であり、車いすに乗った状態(坐位)で撮影を行っております。

(胸部撮影風景)

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 【移乗(トランス)について】

撮影台にて行う際には安全に移乗するよう、職員が介助を致します。
移乗については、ボディメカニクスの考え方に沿って行います。

2人トランスのポイント(ボディメカニクス)
1, 患者さんには脇を絞めるなど体を小さくまとめていただく
2, 職員(介助者)は、患者さんにできるだけ近づく。
3, 支持基底面積(足幅)を広めにする。
4, 重心を低くする
5, 大きな筋肉群(大腿筋)を使う
6, 動く範囲は小さく。

(2人移乗の様子)

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【肩に痛みがある方のトランス】

脳疾患や頚損者の場合、肩に痛みがあり、通常のトランスを行うと痛めてしまう場合があります。その場合は肩に負担がかからないよう持ち上げる場所を変え力の分散を考えます。例えば腰を力点として掴み、患者さんの身体状態に合わせた対応をします。

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【視覚障害の誘導】

視覚障害者の誘導では声掛けを行い、撮影室に入る際に職員の肩や腕に捕まっていただき案内致します。
撮影台に移動する際は、声掛けだけでなく、撮影台を叩いて音を出して位置認識をしていただきます。
そして頭の置く方向(右もしくは左側)を指示して横になっていただきます。
気を付けている点は、撮影装置が天井から下がっているので、移動の際に頭をぶつけないように注意しております。

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【聴覚障害者の誘導】

聴覚障害者の誘導では、マジック(マグネット)ボードを用いてコミュニケーションを図り誘導しております。また簡単な手話を用いる場合もあります。
胸の写真などで呼吸を止めていただく場合の撮影では、当院には息止め用の電光表示がないため、マジックボードによる指示などで撮影室の電気を消した際に、息止めをしていただくことがあります。

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【MRI検査における「呼び出しブザー」】

患者さんにはMRI検査を行う際、検査中に気分が悪くなるなどを想定して、事前に呼び出し用のブザーを持って検査に当たっています。しかしながら、頸椎損傷者の場合、上肢マヒによって呼び出しブザーが握れない状況が発生します。
そのため補助具を使用して呼び出しブザーを使用できるようにしております。下の写真のようにブザーをセットして指の力ではなく腕の力を利用してブザーが鳴らせるようにしています。
この補助具は3Dプリンターで作成しており、病院関係者の方でご興味のある方は一度放射線科にご連絡いただければデータソースをダウンロードできます(本ページ下)
なお仕様は写真下に掲載させていただきます。

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「3Dプリンター」
製品名:Onyx One
材料名:Onyx ナイロンに微小な炭素繊維を充てんした材料です。
企業:MarkForged
HPトップ:https://markforged.com/jp/
Onyx One:https://markforged.com/jp/3d-printers/onyx-one
Onyx:https://markforged.com/jp/materials/plastics/onyx