国リハニュース

第372号(令和5年春号)巻頭言

研究所長就任挨拶

研究所長 亀山 仁彦

 令和4年4月1日付けで、小野栄一前所長の後任として国立障害者リハビリテーションセンター(以下、「センター」)研究所長を拝命しました亀山仁彦と申します。自身の研究は医学部卒業後一貫して基礎神経科学で障害やリハビリテーションと直接にはつながらないものでしたが、これを機会に障害福祉政策を勉強して、障害者の自立にどう貢献していくかを念頭に置いてセンター研究所全体のテーマ設定等に活かしていきたいと考えております。

 昨今、国内の大学・研究機関は財政的に非常に厳しい状況に置かれています。センター研究所も同様で測定機器の更新や保守をセンター予算で賄うのが難しい状況です。その結果、研究者自身の努力による、いわゆる競争的外部資金獲得に頼らざるを得ない状況です。研究不正防止の観点から競争的外部資金の使用においては、従前と比べて非常に厳しいチェックが求められております。そこについてはセンター研究所事務室がそのチェック機能を担う必要がありますが、マンパワーが足りず、外部資金を稼げば稼ぐほど自分の首を絞める悪循環に陥っています。これらについてセンター研究所内に研究活動を支援する部署を設けたり、新しい調達システムを導入するなどして効率化・省力化を図っていきたいと考えております。

 また、研究機関は所有する研究データのHP等への公開が求められております。センターでは令和3年にデータポリシーを策定し、研究データ公開の基本方針として公開しております。公開する研究データはセンター研究所での研究データのみならず、他部局(病院や自立支援局)におけるリハビリテーションや自立訓練で期待される効果なども含めた、様々な障害に対する具体的、体系的なデータの公開を期待されています。しかしながら、未だに、その公開には至っておりません。関係各部署と協力のもと、まずは部分的でも速やかに公開できるよう努力し、随時アップデートしていきたいと考えております。

 センター研究所では医療機器・福祉機器の開発にも取り組んでおります。最終的に障害者の皆様へ製品としてお届けするためには企業の皆様の協力なしには実現できません。企業様からのお問い合わせ窓口が分かりにくいとのご指摘がありましたので、センターHPお問い合わせ一覧に企業様からの問い合わせ先を追記しました。障害福祉政策に貢献できるようぜひとも有意義な企業連携を推進していきたいと考えております。ぜひお気軽にお声がけいただけますと幸いです。

 最後に、我々の研究成果が1日でも早く障害者の皆様のお手元に届くよう努力する所存ですので引き続きご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。