高次脳機能障害支援モデル事業 第1回地方拠点病院等連絡協議会
管理部医事管理課



 去る、6月12日(火)高次脳機能障害支援モデル事 業第1回地方拠点病院等連絡協議会が東京虎ノ門の社会 福祉・医療事業団大会議室において開催されました。本 協議会は、高次脳機能障害支援モデル事業(図1及び2 )において、高次脳機能障害に対する標準的な評価基準 及び社会復帰・生活・介護支援プログラムの確立を図る ため、設置されたものであって、当日は、厚生労働本省 ・当センターをはじめ、10カ所の道府県・指定都市及 びその指定する地方拠点病院から、本協議会委員と関係 者が総勢約70名集まりました。本会合は公開で行われ 、最初に当センターの中村総長が挨拶(※1)を行いま した。引き続き各委員の紹介があった後、委員長選出に 移り、当センターの佐藤更生訓練所長が委員長に選出さ れ、委員長挨拶(※2)を行った後、議事進行に当たり ました。本会合においては、@高次脳機能障害支援モデ ル事業の今後の進め方及びA平成13年度目標とスケジ ュール(次表)並びにB作業班の編成(図3)が決定さ れました。また、その他のモデル事業に対する各地方拠 点病院の現状と今後の体制などについて、活発な意見交 換も行われるなど、今後における事業の展開が大いに期 待される幕開けとなりました。

図1 高次脳機能障害支援モデル事業【概念図】

中村総長挨拶
 『 本日はこの「高次脳機能障害支援モデル事業」 にご参集くださいましてありがとうございます。皆様 、ご存知のように外傷性脳損傷、あるいは脳血管障 害、その他の脳の器質的損傷によって生じるいろいろ な障害、それが、障害者あるいは家族に多くの生活上 の問題をもたらしているということでございます。
 大体1970年代後半、あるいは80年前後にアメ リカ合衆国、オーストラリア、あるいは北欧からこ れらの障害者に対する外傷、あるいはその他の発症の 時期から将来におけるコミュニティでのインテグレー ション、再統合へ向けてまでのフォローアップまで、 いわば連続性のあるケアをどのようにするかというこ との必要性、あるいはモデルが提供されているのが世 界的な状況であります。
 それと平行して、同じような時代からいくつかの神 経性心理学的なアプローチによる問題解決を図ろうとい う動き、あるいはその他の機能回復へのアプローチと いうことが試みられているのでございますが、これも 現在我が国の実態をみましても、例えば外傷性脊髄損 傷による身体障害者への対応のようには、一貫性のあ るリハビリテーションシステムが構築されていないとい うのが現状でございます。特に我が国におきましては 、高次脳機能障害が抱える諸問題に対して、その把握 をリハビリテーション領域においては十分に行われて いないように思えるわけでございます。
 この協議会の活動を通じまして、日ごろ高次脳機能 障害を有する患者さん、あるいは障害者に直接携わっ ている皆様方と協力して、その諸問題の把握、その解 決を多方面から検討していただければ幸いであると考 えております。よろしくお願いします。
 また、この事業に関しまして各都道府県、市の関係 者の皆様には、本日の協議会の委員候補者の推薦に当 たりまして、実は許される期間が大変短かったのでご ざいますが、いろいろとご苦労をかけたことをここで 改めてお礼を申し上げておきます。
 それで、本日ここにお集まりの方々に私のほうから 、当協議会の委員として委嘱をさせていただくという ことにいたしております。お一人々の方々に本来委嘱 状をお渡しすべきところでございますが、時間の関係 等もございます。別途、各都道府県、市ごとにまとめ てお渡しいたすこととしております。どうぞご了承く ださるようお願いします。
 それでは今後、この協議会を通じましてより良い日 本の社会をつくるために我々の力を合わせてやってい けることを願って、私のごあいさつとさせていただき ます。ありがとうございます。』

総長あいさつ
総長あいさつ

佐藤委員長挨拶
 『 ただ今委員長に推薦いただきました国リハセンタ ーの佐藤でございます。一言ごあいさつ申し上げます。
 高次脳機能障害の医療福祉に関するサービスには、 高次脳機能障害の定義からして沢山の大きな問題を抱え ているところでございます。しかし、幸いにも今回お 集まりいただきましたメンバーの中には、既に相当の 実績を挙げておられる施設、または地区もございます し、また全国からお集まりいただきましたメンバーの いずれの方々も、高次脳機能障害について地区の体制 作りに積極的に取り組もうとしておられます。我々に 与えられた課題をできるだけ達成するように努力して いきたいと思いますし、またそれを期待しているとこ ろでございます。
 我々の一番大きな課題は、各地区、または各施設に おいてそれぞれのサービス形態をきっちりと磨き上げて いく、または打ち立てていくことであろうと思います 。また、後続と申し上げては失礼かもしれませんが、 今から手を挙げられるところに我々11のメンバーが こぞってモデル地区としていろいろなノウハウを提供で きるというレベルに達することが我々の使命であろうと 思っております。 そういうことで活動いただく中で 、我々の協議会としましてはそのエッセンスをできる だけいい形にまとめていきたいと思っております。そ のまとめ役を皆様の協力を得て果たしていきたいと思 いますので、ご協力のほどよろしくお願いします。』

委員長あいさつ
委員長あいさつ
図2 国リハ内モデル事業作業部門編成

表 高次脳機能障害支援モデル事業(3ヵ年計画)の年次計画

  平成13年度 平成14年度 平成15年度
リハビリテーションサービス事業
(国リハ及び地方拠点病院等)
@当該障害者を診断別、機能障害別に分類した上で、 訓練及び社会復帰支援策を適用し、実例を収集

Aリハビリテーションプログラムに着手(リハプログ ラムとは障害者に連続したケアを提供することを指し 、専門職種ごとの訓練プログラムより上位にある概念 である)

B障害者の実態調査(オプション)
@神経心理学的及び機能障害的に、区分と重症度を定 める診断・評価法を検討

A作成したリハプログラムの適用実例の集約及びの有 効性の検討

Bリハプログラム実施に必要な専門職、機器等運用指 針の検討
@神経心理学的及び機能障害的に、区分と重症度を定 める診断・評価法を確立

A作成したリハプログラムの適用実例の集約と有効性 を確認することにより、モデルプログラムの確立

Bリハプログラム実施に必要な専門職、機器等運用指 針の確立
情報収集・提供事業
(国リハ)
  ・国内外の高次脳機能障害に関連する資料・情報の収 集とデータベースの作成

・情報提供サービスの準備
・収集した情報・資料及びモデル事業の成果について 、インターネットを通じた提供
研修事業
(国リハ)
  ・関連施設、病院等の医師、職員等及び家族を対象と して、リハプログラム等の講演会を実施 ・関連施設、病院等の医師、職員等及び家族を対象と して、リハプログラム等の研修事業を実施

【参考】

その他関連事業
(国リハ)
  ・認知機能、社会適応訓練等のための福祉機器等の開発着手 ・認知機能、社会適応訓練等のための福祉機器等の開発


図3 作業班の編成につい