平成13年度第18回業績発表会の開催について
管理部 企画課



 去る、12月21日(金)、当センターにおいて、平 成13年度第18回業績発表会が開催されましたのでご 紹介いたします。
 この発表会は、当センターの職員がその事業や学術研 究のうえで、成し遂げた成果を発表・討議する機会を設 けることによって、職員相互の研鑽と連携の強化を図り 、効果的、総合的なリハビリテーションの推進を図るこ とを目的として開催されたものであります。
 今回、特筆すべき点として挙げられることの1つは、 昨年に引き続き、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉 部企画課国立施設管理室からの呼びかけの協力を得なが ら他の国立更生援護施設職員等からの参加を得ることが できたことです。国立伊東重度障害者センターから2題 、国立別府重度障害者センター及び国立秩父学園からは 各々1題の演題の発表などがあり、また、国立塩原視力 障害センター、国立神戸視力障害センター及び国立福岡 視力障害センターからは、聴講者の派遣があって、合計 6施設から13名の方々に参加していただきました。今 後、さらに多くの方々が参加され、一層活発な交流の場 となることを期待したいと思います。
 また、今回の発表演題数は、昨年度から、さらに増加 し、合計48題となり、会場を2会場に分けざるを得な くなる等、盛大な業績発表会となりました。本発表会の もう1つの大きな目的である職員の資質向上にも多いに 寄与できたものと存じます。
 さらに、発表形態が従来と大きく変わりました。従来 はスライド、ビデオ、OHPなどを使って発表する演者 の方々も多少見受けられましたが、今回はパソコンのプ レゼンテーションを使用する演者が殆ど全部となり、こ こにも時代の大きな変化の波を感じることができました 。
 これらの発表の後に、特別講演として、本省の障害保 健福祉部企画課の田中伸至課長補佐から「障害者施策の 動向」という演題で、「支援費制度の事務大要について 」と「重大な犯罪を犯した精神障害者の処遇について」 という時宜かなったテーマでわかりやすくご講演いただ きました。障害者の施設の運営に当たる職員として、当 センターの職員はもちろんのこと、他の施設からの参加 者も、今後の業務を推進して行く上で、大変参考になる ものと思います。
 最後に、佐藤更生訓練所長から、今年の本発表会の特徴 、今後のあり方などについて講評をいただきました。以 下、ここに全文を掲載いたします。

 【講評】
 今日は朝から長時間、皆さんご苦労様でした。たくさ んの演題を皆さんと聞いたわけでございますが、講評を ということですので、自分が聞いた範囲で気づいた点を 話してみたいと思います。
 今回は国立秩父学園、伊東重度障害者センター、別府 重度障害者センターからも4題の発表を頂きましたが、 互いに異なる視点からの話を聞けたことが特記されるの ではないかと思います。
 また、高次脳機能障害が11題と大きなセッションに なっていましたけれども、さすがにこういう事業が国リ ハに振られるとこれだけエネルギーが高くなるものであ ると感じました。今後に期待したいと思った次第です。
 次に、複数の部局が共同で取り組んだ演題数について コメントさせていただきます。各部署の連携を強化する ことが重要ですが、その演題は6題でした。全体の約8 分の1ということで、さらに増えてしかるべきと思いま すので、今後に期待しております。
 現在は one-to-one の個別的対応が重視 される時代ですが、個々のニードを十分に分析してサー ビスを行ったことを報告したものが2,3目につきまし た。
 また図書館の利用状況のまとめとして、あまり利用し ない部門もあり、その関係書についての対策も検討する 必要があろうというような実際に即した話もありました 。さらに、山内所長が座長としてコメントされた、病棟 の避難訓練について検討した演題では、非常に重要な点 が指摘されておりました。このような身近な問題提起も 重要であると感じた次第でございます。
 伊東重度障害者センターの鈴木さんから外国研修の話 がありましたが、あっと言わせるような言葉を聞いて、 一瞬、息を飲んだわけでございますが、聞かない人もあ ると思いますので、あえて申し上げますと、それは、「 我々は、障害者をネタにして国から金をもらって処遇し ようとは思わない」というNPOを非常に重視している 国の話で、我々、国からのお金で活動している者として 、身につまされるような話でございました。また秩父学 園の内野さんからは、ケース処遇においてよくよく問題 点を分析してみると、そこに問題点を解く鍵があるので 、処遇を考える前によく観察することが大切であること を示す、本当にきれいなデータを発表していただきまし た。また、学院の市田さんの手話に関する話、初めて手 話の研究について聞いたのですが、非常に印象的でござ いました。
 今後検討をお願いしたい2点について申し上げて、終 わりにしたいと思います。パワーポイントのトラブルで 、第2会場で、時間を大分ロスしましたが、企画課だけ でなく、演者も事前に1回チェックしておいて、お互い にスムーズにいくようにしていきたいと思います。
 もう1つは、1つのセッションが終わるまで、演者が 会場の前の席から離れられない点です。会場が複数です ので、その間他の会場の演題は聞くことができません。 それから、今ここで質問したいと思っても質問できず、 別の会場に行ってしまうと質問するのが難しくなります 。まとめて質疑応答することのメリットもあるので、一 概にはどちらがいいとは言えないかもしれませんが、1 つ検討していただければと思った次第でございます。
 本日の演題は、避難訓練の身近な問題から脊髄につい ての基礎的研究まで、多岐にわたっており、活発な討論 があったと思います。これを機に、この業績発表会が一 層充実していくことを祈念しまして、講評といたします 。どうも皆さん、今日は大変ご苦労様でございました。

佐藤更生訓練所長の挨拶
佐藤更生訓練所長の挨拶

第一会場(大会議室)
第一会場(大会議室)

第2会場(小・中会議室)
第2会場(小・中会議室)

デモンストレーション
デモンストレーション

田中課長補佐による特別講演
田中課長補佐による特別講演

平成13年度 第18回業績発表会発表演題及び発表者
視覚障害
1 糖尿病教育入院からDMCへの移行における病棟の取り組み 病 院 今村奈緒子
2 視覚障害原因調査から見た理療教育課程入所者の状況について 更生訓練所 白浜  一
3 求心性視野狭窄をもつロービジョン者に対する歩行訓練効果の測定 学 院 小林  章
4 ケアマネジメントの手法による生活訓練の試み壱T 更生訓練所 石渡 博幸
5 ケアマネジメントの手法による生活訓練の試みU 事例報告 更生訓練所 渡辺 雅浩
6 後指導の事例報告 更生訓練所 若林 耕司
7 ヘルスキーパー雇用促進の取り組み 更生訓練所 白岩  豊
8 教授法向上のための組織的取り組みについて 更生訓練所 柳澤 春樹
高次脳機能障害
9 医療相談室における高次脳機能障害者の相談の概況 病 院 久保 明夫
10 国リハセンターにおける20年間のTBI入所申請者の概要 更生訓練所 仲川 真理
11 高次脳機能障害モデルスケジュールの作成と試行 病 院 三輪 隆子
12 高次脳機能障害を有する患者グループに対する心理指導の試み 病 院 土屋 和子
13 高次脳機能障害にともなうコミュニケーションの問題について
〜高次能機能障害コミュニケーショングループの試み〜
病 院 三刀屋由華
14 外傷性脳損傷者の職業リハビリテーション〜WAIS-R下位項目による分析を中心に〜 更生訓練所 小熊 順子
15 記憶障害患を有する患者へのアプローチ 〜記憶の補償手段獲得と活用への取り組み〜 病 院 四ノ宮美恵子
16 高次脳機能障害に対する作業療法グループ訓練の試み 病 院 山本 正浩
17 親の障害認識と受容に向けての関わりを通して 病 院 高橋 小代
聴覚・言語障害
18 言語未獲得のダウン症児の言語発達 〜AAC(補助・代替コミュニケーション)の活用まで〜  病 院 倉井 成子
19 先天性聴覚障害者の手話言語能力 〜国立リハセンター入所生を対象にした研究〜 研究所 福田友美子
20 手話と日本語の文法構造の違いが通訳時の訳出に与える影響について 学 院 市田 泰弘
21 聴覚障害者の「自己発生音」評価法に関する検討 研究所 林  良子
22 聴覚障害者の「自己発生音」に対する意識調査 更生訓練所 会田 孝行
23 意識調査等から見た聴覚障害入所者に対する支援ニーズ 更生訓練所 菅原 美杉
全障害
24 医療相談開発室の利用者概況 病 院 上野久美子
25 入所者診療室利用状況 病 院 新井美智子
26 職能訓練修了者に対する後指導の実態について 更生訓練所 近藤 和弘
その他
27 図書資料室の利用状況について 管理部 白津 隆一
28 一般リハ課程肢体・内部・視覚野外訓練の見直しについて 更生訓練所 成戸 宏幸
29 当院における災害発生時の看護婦の役割と問題
〜災害アンケート調査〜
病 院 唐石 恵子
30 学院・義肢装具学科の変遷 〜卒業研究を中心として〜 学 院 根岸 和諭
31 海外研修実施結果報告 伊 東 鈴木 克子
32 点眼の自立に向けての関わり 〜点眼器を紹介しての試み〜 病 院 中村 華恵
33 更生訓練所における内部障害入所生の概要 更生訓練所 佐藤徳太郎
34 不適応行動を改善していくための原因分析と職員の対応
−唾吐き行為を中心にー
秩 父 内野 桂子
35 ヒト脊髄運動ニューロンに存在する自律的活動モード 研究所 野崎 大地
36 パルス磁気刺激がラットの心血管系に及ぼす影響 研究所 Byungchul Hong
肢体不自由
37 国立別府重度障害者センター職能訓練における現状と課題 別 府 浦田真由美
38 職能部における学習指導の現状について 更生訓練所 高倉 義憲
39 介助用ロボットアームにおける接触動作の安全性の向上に関する基礎的研究 研究所 中井 徹志
40 電動義手の適応評価と公的給付制度の現状 研究所 高橋 功次
41 外側楔状足底板を用いた歩行の動作分析〜変形性膝関節症に対する装具治療の裏付け〜 研究所 垣花  渉
42 股義足使用者の歩行動作の運動解析 研究所 青木  慶
43 補装具製作部における義肢装具の改良点 研究所 小池 雅俊
44 リハ医療における脊髄損傷患者のQOL 研究所 南雲 直二
45 ツインバスケットボールが及ぼす効果について 病 院 北村 昭子
46 ボスニア・ヘルツェゴビナ国のリハビリ事情 伊 東 木村 博光