[病院情報]
看護部 3階病棟紹介
 



<概要>

 3階病棟は、平成7年4月に病院新館3階に開棟した病棟で、神経内科の回復期リハビリテーションを目的にしています。病床数50床で、毎週3〜5名が入院され、常時40〜45名の患者様が訓練に励んでいます。
 疾患の内容は脳卒中が約7割、頭部外傷者が約2〜3割、その他が1割前後です。障害では片麻痺、四肢麻痺などの運動機能障害と共に、脳損傷の部位によっては意識障害、嚥下障害、見当識障害、痴呆、認知障害(記憶・注意・遂行機能障害、失語、病識低下等々)などが合併し、障害も重複している方が多いのが特徴です。
 病棟の構造は2階病棟と同じで、1人あたりの平均病室面積は8m2でゆったりした構造になっています。
 看護チームは看護師17名、看護助手6名、クラーク1名、朝・夕の食事時間帯に援助するモーニング・イブニングメイトで構成しています。
 勤務体制は日勤・準夜勤・深夜勤の3交代制で2人夜勤です。入院から退院までは継続受け持ち方式をとり、受持看護師が責任をもった看護を提供しています。


ボランティアによるコーラスの様子



<看護>

 看護師は、患者様各自の目標に向けて、安全に配慮しながら反復して指導をしています。
 内容では@日常生活動作(以下ADLという)の拡大支援、A合併症の予防、B心理的支援、C健康教育、D家族に対する介護指導、E家族及びリハチームメンバーとの連絡調整、F診療の補助などがあります。これらの内容を実施するにあたっては、障害のため理解力や表出力が十分でない患者様が多いため、ご家族の方々と密に情報交換をし、協力しあいながら、患者様が混乱や不安がなく入院生活ができるように努めています。
 認知障害を持つ患者様の問題は、ADLのみではなく、自発的に行動できない、日付・曜日・時間がわからない、自室・トイレ・訓練室等の生活の場所・人物がわからない、感情のコントロールができない、他の人と交流できない等生活全体に影響します。社会生活(在宅、復職、復学など)をするために必要な内容を、個別にあった方法で生活の場でできるよう、毎日反復して訓練を行っています。併せて、認知障害という目に見えない障害については、家族への指導が重要で、他部門と情報を共有・連携して支援しています。


七夕会の様子  病院は単調な生活になりがちです。患者様の気分転換・活性化にむけて、月1回のボランティアによるコーラスや、七夕会やクリスマス会等のレクリエーションも実施しています。準備から当日の活動を通じて日常の生活では見られない生き生きした表情・行動が観察出来ています。

勤務者の顔写真掲示の様子  患者様へのサービスとして、今年7月から勤務者の顔写真を提示しました。看護師の氏名を言えなくても、指で自分の受持看護師を示す行動が見られています。

 その他、下記のような病院全体での取り組みにも、該当する患者様の多い病棟として参加・活動をしています。



・H12年から病院全体で「嚥下障害」に対応するようになりました。看護師が中心になり毎回の食事場面で誤嚥せずに食事が出来るよう、姿勢や食事の形態、食べ方について、観察・指導しながら、安全な食事の訓練をしています。
・当センターが関わっている「高次脳機能障害支援事業プロジェクト」にチームの一員として参加しています。生活の場面での問題について、入院から退院後も継続して統一した援助ができることをめざしています。



安全にむけて

 脳卒中や頭部外傷の患者様の中には、転倒や無断離院などのリスクが高い患者様もいらっしゃいます。職員全体が患者様の当日の予定を把握し、連絡用のPHSを携帯しながら検査や訓練の送迎をしています。転倒には個々の行動を予測した対応、ベッド周囲の環境を整えたり、早期に対応できるように徘徊マットを使用したりしています。
 無断離院の可能性が高い患者様には、ご家族の了解を得て「カエルマーク」を付けたり、「徘徊感知システム」を使用しますが、これは病棟・システムの構造上、離院を防止するものではなく、早期に発見しようとするものです。常に患者様方の安全を意識し、事故防止に対するアンテナを高くしながら業務にあたっていますが、限られた人員では限界もあります。病院全体での組織的な対応が必要になりますので今後ともご協力をお願いいたします。
 患者様・ご家族の皆様はリハビリに期待し入院されます。入院生活に満足して頂くために患者様・ご家族に「ケアの説明」をし「同意」を得て進め、職員間の報告・連絡・相談を密にし、ご家族・リハチームメンバーとも連携しながら患者様の満足が得られるように努めていきたいと思います。


「カエルマーク」と御守袋に入った「徘徊感知システム」送信機