当センター学院が、この9月に開催しました実務研修会のうち、リハビリテーション心理職研修会(応用)、音声言語機能等判定医師研修会及び、靴型装具専門職員研修会(基礎)について、その概要をとりまとめましたので、ご紹介いたします。
なお、これらの研修会の日程表は、別表1、別表2及び別表3のとおりです。
去る9月2日(月)〜6日(金)の5日間、当センターにおいて、平成14年度リハビリテーション心理職研修会(応用)を開催しました。
本年5月に同研修会(基礎)を実施しており、7月の国リハニュースに紹介させていただいておりますので併せてごらんいただければ幸いです。北は北海道から南は北九州市に及ぶ16都道県から、受講定員を上回る25名のご参加をいただきました。
例年にも増して9月の残暑が厳しい時期でしたので、北海道や岩手県の方は少々バテ気味の様子でしたが最後まで頑張られ修了証書を持ち帰られました。
リハビリテーション心理職研修会(応用)は、身体障害者更生相談所、リハビリテーション病院、福祉施設等において心理業務に従事している専門職員で、リハビリテーション領域で5年以上の経験のある職員を対象として実施しております。
今回のカリキュラムは、別表1のとおりで、心理士の役割に期待すること、神経心理学概論、記憶・注意のしくみ、高次脳機能評価、リハビリテーションにおける認知的アプローチ、リハビリテーションにおける心理療法的アプローチ、症例をとおしてみるリハビリテーション、うつの理解と対応について、障害者福祉の動向(15年の支援費制度に関する最新の情報)、リハビリテーション心理の実践と展開(4班編成のグループ討議)、職リハ・国リハ見学から構成されており、各々の分野において第一人者ともいうべき講師にご協力いただきました。
受講生は各講義において積極的な質問をされ、熱心に取り組んでおられました。
高次脳機能障害関連の講義を中心として延べ約20名の内部職員も聴講しました。
グループ討議においては、心理判定書に関して判定方法についての検討、検査結果の伝え方、検査の結果がどのように扱われ実際の処遇に活かされているか、実際の処遇の経過をおさえるための継続的判定等についての話し合いがなされ、市町村等関係機関支援では地域への受け皿へのつなぎやフォロー、困難事例の継続フォロー、具体的支援処遇プランの提示等について支援費制度を視野に入れた活発な討議が続き時間の不足を感じさせるほどでした。
高次脳モデル事業の関連で病院に専門外来を設置し継続的な支援をしていく体制が整ったとの報告もありました。
さらに専門性の向上のために研修の充実をはかっていくことも重要であることが確認されました。
本研修会も今後とも受講生の皆様方の期待に応えていけるよう内容の充実を図っていきたいと思います。
今回の研修会で得られた成果を全国各地に持ち帰られ、それぞれの現場において、この成果を大いに活用して、益々ご活躍されますよう祈念しております。
平成14年度音声言語機能等判定医師研修会は、例年より約1ヶ月早く、9月9日(月)から13日(金)の5日間にわたって、当センター学院にて開催されました。昭和60年より始まった本研修会も今回で18回目、本年度受講者19名を含め、通算500人近い受講生を数えております。
本研修会の目的は、耳鼻咽喉科医が、音声言語や嚥下等の診療をすすめていく上での技能を、講義や実習を通じて高めることにあります。音声言語や嚥下の障害の診療は、老齢化社会の到来・Quality of Life向上指向等の社会的要因と、これらの障害の訓練を耳鼻咽喉科医とともに担当する言語聴覚士の国家資格化という医療現場の変化とから、耳鼻咽喉科領域において近年とみに注目されております。
日程を例年より早めたのは、秋の学会シーズンに重ならないようにするためと、月初めの開業医の先生方のレセプト作業の時期をはずすためで、ともに昨年の参加者からのご意見をとりいれました。また、内容面でも、出来るだけ実習を増やしてほしいというご意見から、新たに嚥下評価実習と嗄声評価実習を始めました。研修後に実施させて頂いた受講生アンケートではこれらの変更に対し概ね良好なご意見を頂くことができました。
また、今回の研修は予算の関係から、出来るだけ内部の講師陣でかためる方針をとりました。
本研修会の担当責任者として、ご協力いただいた職員の皆様方に対して、この紙面をお借りしまして、改めて御礼申し上げます。
去る9月17日(火)〜20日(金)の4日間、当センター義肢装具士養成棟において「靴型装具専門職員研修会(基礎:採型・適合コース)」を開催しました。
この研修会は靴型装具製作・適合業務に従事している義肢装具士を対象として、平成6年度から開始され現在に至っており、今回の受講者6名を含め延べ94名の研修生が受講しています。
今回の受講者の傾向は経験年数20年という義肢装具に熟練した人から、この春に義肢装具士養成校を卒業して1年にも満たない人まで幅広く受講し、その所属も民間の製作所・病院・養成校の教官など多岐に渡っており、靴型装具に対する関心の深さがうかがえました。
本研修会は日本の従来の靴型装具の製作方式ではなく、ヨーロッパの先進的な技術を導入するため、実技講師の1人にドイツのオーソペディックシューマイスターの資格を持つEduard Herbst氏を迎えて行われています。内容は@足の採寸・採型、A木型(足のモデル)の製作・修正、Bフットベッド(足底板)・チェックシューズの製作、Cチェックシューズの適合、と実習が中心となっています。
来年度の本研修会は、実際に特殊な皮革等の材料を用いて靴型装具の製作を行う「応用:靴型装具製靴コース」を計画しているところです。
(別表1) |
平成14年度 リハビリテーション心理職研修会(応用)日程表 |
月日 |
午前 |
午後 |
9月
2日 (月) |
開講式・オリエンテーション |
(10:00-10:30) |
神経心理学概論 |
東北大学医学部 |
教授 山鳥 重 |
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心理士の役割に期待すること |
(13:00-14:20) |
国立身体障害者リハビリテーションセンター |
総長 佐藤 コ太郎 |
障害者福祉の動向 |
(14:30-16:00) |
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 |
障害福祉専門官 小田島 明 |
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9月
3日 (火) |
高次脳機能評価 |
(9:00-12:00) |
障害者職業総合センター |
主任研究員 田谷 勝夫 |
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職リハ見学 |
(13:10-14:00) |
記憶・注意のしくみ |
(14:10-16:00) |
新潟大学人文学部 |
教授 本田 仁視 |
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9月
4日 (水) |
リハビリテーションにおける認知的アプローチ |
(9:00-12:00) |
東京都リハビリテーション病院 |
心理主任 中島 恵子 |
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リハビリテーションにおける認知的アプローチ |
(13:00-16:00) |
東京都リハビリテーション病院 |
心理主任 中島 恵子 |
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9月
5日 (木) |
リハビリテーションにおける心理療法的アプローチ |
(9:00-12:00) |
名古屋市総合リハビリテーションセンター |
福祉部主幹 阿部 順子 |
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リハビリテーションにおける心理療法的アプローチ |
(13:00-14:00) |
名古屋市総合リハビリテーションセンター |
福祉部主幹 阿部 順子 |
うつの理解と対応について |
−心理療法的アプローチ− |
(14:10-16:00) |
国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所 |
心理実験研究室長 南雲 直二 |
国リハ見学 |
(16:10-17:00) |
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9月
6日 (金) |
リハビリテーション心理の実践と展開 |
−グループ討議− |
(9:00-12:00) |
司会 |
国立身体障害者リハビリテーションセンター |
更生訓練所 |
相談判定課長 松岡 利男 |
議事進行 |
国立身体障害者リハビリテーションセンター |
更生訓練所 |
主任心理判定専門職 小熊 順子 |
主任心理判定専門職 四ノ宮 美恵子 |
心理判定専門職 菅野 博也 |
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症例を通してみるリハビリテーションセンター |
−神経内科医の立場から− |
(13:00-15:00) |
国立身体障害者リハビリテーションセンター病院 |
診療部長 長岡 正範 |
閉講式 |
(15:00-15:30) |
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(別表2) |
平成14年度 音声言語機能等判定医師研修会日程表 |
月日 |
午前 |
午後 |
9月
9日 (月) |
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開講式・オリエンテーション |
(13:30-13:50) |
@ 身体障害者福祉法・言語聴覚士法 |
(14:00-15:30) |
国立身体障害者リハビリテーションセンター |
顧問 柴田 貞雄 |
A 音声言語外来の運用 |
(15:50-17:00) |
国立身体障害者リハビリテーションセンター病院 |
第二耳鼻咽喉科 熊田 政信 |
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9月
10日 (火) |
B 発声障害概論 |
(9:00-10:30) |
国立身体障害者リハビリテーションセンター病院 |
第二耳鼻咽喉科 熊田 政信 |
C <検査実習>発声障害の評価 |
(10:50-12:00) |
国立身体障害者リハビリテーションセンター病院 |
第二耳鼻咽喉科 熊田 政信 |
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D 音声外科 |
(13:30-15:00) |
日産厚生会玉川病院 角田 晃一 |
E 音声治療 |
(15:20-16:50) |
帝京大学市原病院 石毛 美代子 |
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9月
11日 (水) |
F 失語症概論 |
(9:00-10:00) |
国立身体障害者リハビリテーションセンター病院 |
第二機能回復訓練部 餅田 亜希子 |
G <検査実習>失語症 |
(10:10-12:00) |
国立身体障害者リハビリテーションセンター病院 |
第二機能回復訓練部 餅田 亜希子 |
第二機能回復訓練部 三刀屋 由華 |
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H 言語発達遅滞概論 |
(13:30-14:40) |
国立身体障害者リハビリテーションセンター病院 |
第二機能回復訓練部 倉井 成子 |
G <検査実習>言語発達遅滞 |
(14:50-16:50) |
国立身体障害者リハビリテーションセンター病院 |
第二機能回復訓練部 倉井 成子 |
第二機能回復訓練部 越 一恵 |
千葉県千葉リハビリテーションセンター |
知念 洋美 |
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9月
12日 (木) |
J 構音障害概論 |
(9:00-10:00) |
国立身体障害者リハビリテーションセンター病院 |
第二機能回復訓練部 白坂 康俊 |
K <検査実習>構音障害 |
(10:10-12:00) |
国立身体障害者リハビリテーションセンター病院 |
第二耳鼻咽喉科 熊田 政信 |
第二機能回復訓練部 白坂 康俊 |
第二機能回復訓練部 岡本 裕子 |
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L 音声言語外来実習 |
(13:30-16:30) |
国立身体障害者リハビリテーションセンター病院 |
第二耳鼻咽喉科 熊田 政信 |
日産厚生会玉川病院 角田 晃一 |
国立身体障害者リハビリテーションセンター病院 |
第二機能回復訓練部 白坂 康俊 |
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9月
13日 (金) |
M 嚥下障害 |
(9:00-10:30) |
神奈川リハビリテーション病院 |
伊藤 裕之 |
K <検査実習>嚥下障害の評価 |
(10:40-12:00) |
国立身体障害者リハビリテーションセンター病院 |
第二耳鼻咽喉科 熊田 政信 |
第二機能回復訓練部 白坂 康俊 |
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(別表3) |
平成14年度 靴型装具専門職員研修会(基礎)日程表 |
月日 |
午前 |
午後 |
9月
17日 (火) |
開講式・オリエンテーション |
(9:30-10:00) |
講義 靴型装具の現状 |
(10:00-10:45) |
国立身体障害者リハビリテーションセンター学院 |
義肢装具学科 大石 曉一 |
講義 足の観察・採型 |
フットプリント・採寸・ギプス採型法 |
(11:00-12:15) |
神戸医療福祉専門学校 |
Eduard Herbst |
川村義肢株式会社 |
真殿 浩之 |
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実技 足の観察・採型 |
フットプリント・採寸・ギプス採型法 |
(13:00-16:00) |
神戸医療福祉専門学校 |
Eduard Herbst |
川村義肢株式会社 |
真殿 浩之 |
実技 陽性モデル製作法 |
(16:15-18:00) |
神戸医療福祉専門学校 |
Eduard Herbst |
川村義肢株式会社 |
真殿 浩之 |
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9月
18日 (水) |
講義・実技 木型修正法 |
(9:00-12:15) |
神戸医療福祉専門学校 |
Eduard Herbst |
川村義肢株式会社 |
真殿 浩之 |
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実技 木型修正 |
(13:00-18:00) |
神戸医療福祉専門学校 |
Eduard Herbst |
川村義肢株式会社 |
真殿 浩之 |
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9月
19日 (木) |
講義・実技 フットベッド製作法 |
(9:00-12:00) |
神戸医療福祉専門学校 |
Eduard Herbst |
川村義肢株式会社 |
真殿 浩之 |
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実技 チェックシューズ製作法 |
(13:00-18:00) |
神戸医療福祉専門学校 |
Eduard Herbst |
川村義肢株式会社 |
真殿 浩之 |
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9月
20日 (金) |
講義 足の構造と疾患の基礎 |
(9:00-10:30) |
東北大学医学部 |
飛松 好子 |
講義 足と靴のバイオメカニクス |
(10:45-12:15) |
国立身体障害者リハビリテーションセンター学院 |
義肢装具学科 有薗 裕樹 |
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講義・実技 靴型装具適合学 |
−試歩行・アラインメントチェック− |
(13:00-15:30) |
神戸医療福祉専門学校 |
Eduard Herbst |
国立身体障害者リハビリテーションセンター学院 |
義肢装具学科 高嶋 孝倫 |
閉講式 |
(15:45-16:00) |
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